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スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
日本人のコワい体験談「フランスの鉄道で強盗被害に…」ラグビーW杯、取材最終日に“まさかのトラブル”「パリで忘れ物したら戻ってこない」は本当か?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2023/11/28 11:06
パリの秋、美しい街並み。ラグビーW杯、取材最終日に記者が起こした“まさかのトラブル”とは……?
「これだよね? ひょっとして……フライトに遅れた?」
大丈夫、7時のフライトなんだと言って、私は感謝の言葉を伝えた。
パリでは、忘れ物をしたら戻ってこない。私もそう思っていた。しかし、私のバッグは戻ってきた。
最後の難関は、交通渋滞だった。15時40分にUberに乗ると、到着予測時刻が17時から徐々に遅くなり、17時18分まで食い込んできた。なんとか17時30分には到着したい。
シャルル・ド・ゴール空港へ向かうには環状線は、Mくんと13時台に利用した時は順調だったが、2時間が経って渋滞がひどくなっていた。わが東京の首都高速道路、箱崎JCTとかの比ではない。うんともすんとも言わない。
間に合わないのではないか? という恐れが16時30分頃になって増幅してくる。すると、Apple Watchから警告が発せられた。
「高心拍数になっています」
車に乗っているだけなのに、心拍数は1分間に120回を記録しているではないか! 強度の高いウォーキング並みの心拍数である。Uberの運転手のイッサムが「遅れそう?」とGoogle翻訳で質問してくれたが、”Non”と答えた。遅れそうと伝えたところで、いい影響なんて生まれない。息を吐き、落ち着こうと努めていると、車は流れに乗り出し、17時16分、ターミナル2Eに滑り込んだ。
そこにはカートに荷物を積んだMくんが待っていてくれた。Mくんは、こう言った。
「遠足は、家に帰るまでが遠足だって言いますからね」
全国47都道府県の小学校の先生たちの言葉は、56歳にとっても「至言」だった。
チェックインを済ませ、お土産屋を冷やかしていると、これから準決勝だというのに、見事なまでにW杯グッズは撤去され、パリ・オリンピックのグッズが並んでいた。
もうすぐ2024年だ。
最後に…“わがバディ”の話を書きたい
最後に、わがバディ、文藝春秋写真部員Mくんのことを書き記しておきたい。