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日本人のコワい体験談「フランスの鉄道で強盗被害に…」ラグビーW杯、取材最終日に“まさかのトラブル”「パリで忘れ物したら戻ってこない」は本当か? 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byGetty Images

posted2023/11/28 11:06

日本人のコワい体験談「フランスの鉄道で強盗被害に…」ラグビーW杯、取材最終日に“まさかのトラブル”「パリで忘れ物したら戻ってこない」は本当か?<Number Web> photograph by Getty Images

パリの秋、美しい街並み。ラグビーW杯、取材最終日に記者が起こした“まさかのトラブル”とは……?

 あっ。荷物を仕分けしているとき、エディンバラで買ったショルダーバッグをロビーに置いてきてしまったのだ――。

 即座になにが入っていたか、記憶をまさぐる。このバッグは「リザーブ」扱いだったので、金目のものは入っていない。だから、フランスでは使わなかった自宅の鍵が入っていた。一瞬、「パリから東京に盗みに来る奴はいないだろう」と考え、置いて行ってもいいかと思った。ところが、捨ててはおけないものがあった。

 アクレディテーション・カード、取材証である。

 悪用される可能性がわずかながらあった。そしてマッチチケットも入っていた。私がW杯に6週間滞在した「証」だ。それには後ろ髪をひかれた。とりあえず、ホテルに電話だ。フランス語で返事があったが、「英語でもいいですか?」と聞くと、英語での会話にすぐに切り替わった。

「申し訳ないんですが、ロビーにバッグを忘れたかもしれないんです。確認してもらえますか?」

 ちょっと待ってて、と男性に言われてから数秒。

「これじゃないかな。黒のバッグ」

 あったのだ!

日本人のコワい体験談「強盗被害も…」

 私たちは安全を見て、空港に出発の4時間半前に到着するようにしていた。これならば、市内に戻っても、なんとか間に合うかもしれない。空港に到着し、Mくんと相談すると、「僕が生島さんの荷物を見てますから、行ってきてください」と言ってくれた。ありがたかった。

 私の珍道中に登場してくれたMくんは、これまでは1行も書いていないが、筋金入りの「運輸マニア」だった。空輸から始まり、電車の車両、その車両音などに敏感だった。「入線」「打刻」などは我々の共通言語だ。そして乗ることに関しても俊敏に判断する。このとき、私がパリ市内に戻るためには、治安に不安があるとされる「RER」と呼ばれる、市内と郊外とを結ぶ高速鉄道を利用するしかなかった。

 ネットでは、RERに乗って強盗被害に遭った日本人の体験談が出てくる。しかし、Mくんは「僕が乗った感じでは、時間帯によると思います。夕方以降が危ないらしいので、今なら大丈夫かと」とアドバイスしてくれた。

 実際、午後2時台のRERは乗客が多く、安心だった。それに加え、4、5人編成による重装備の警備員が車内を巡回していた。つまり、RERも様子を見て利用するかどうかを判断すればいいということだ。

 私は順調にホテルへと戻った。

「パリでは、忘れ物をしたら戻ってこない」は本当か?

「忘れ物で電話した者です。黒いショルダーバッグ、ありますか?」

 受付の若者は少し微笑んでから、奥からバッグを出してくれた。

【次ページ】 「パリでは、忘れ物をしたら戻ってこない」は本当か?

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