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スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
「フランス料理マズいでしょ?」フランスの田舎で尊敬される日本人“ミシュランシェフ”がいた…ラグビーW杯で私が出会った「人生最高のガーリックライス」
posted2023/11/28 11:05
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kiichi Matsumoto
このコラムも、あと2回で打ち止めとする。
「ワールドカップはとっくに終わってるのに、まだ書くのか!」と言われそうだが、自分では珍道中の最終回を書いてしまったら、しんどく、楽しく、そして濃かったフランスでの日々が終わってしまう――それが嫌だったのかもしれない。実際、現地に赴いた報道陣と東京で話すと、いまだに会話は熱を帯びる。
トラブル頻発もその理由だが、それぞれの記者、フォトグラファーに「忘れがたい時」があったからだろう。
私が感じたのは、旅には「流れ」というものがあり、それに乗っかることで、思ってもみない出会いが生まれるということだ。
「もはや1泊5万円のホテルしかない…」
始まりは9月23日だった。
この日、私はパリに南アフリカ対アイルランド戦を取材しに行くことになった。じつは、この試合の取材申請については、文藝春秋写真部員Mくんと相談し、「パリに行くのは日程的にも、金銭的にも負担が大きい」という理由で8月中に「キャンセル」していた。ところが9月18日になり、キャンセルしたはずの申請が認められたのである。
もう、無茶苦茶である。
Mくんとふたり、「認めてほしくなかったね」とぶつぶつ言っていたのだが、この試合は「なんだかすごいことになる」という予感が働き、せっかくだから行ってみようということになった(その予感は現実のものとなった)。
しかし、私にとっての「事件」がスタッド・ド・フランスの記者席で起きた。