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金足農エースは吉田輝星の弟「伸びしろしかない1年生」「性格そっくり」今秋“23年ぶり”秋田で優勝「あいつが投げてっと、不思議と勝つ」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKei Nakamura
posted2023/11/25 11:02
金足農業のエースは、あの吉田輝星の弟・大輝(1年生)だ
「いやぁ、厳しかったすね。2点以上リードする展開がなくて。追う形ばっかり。先制したのは初戦と決勝だけだったんです。初戦は途中で追いつかれていますしね。タイブレークにもつれ込んだ試合も2回もありましたから」
少ない点数を守り抜くというスタイルは2018年夏も同様だった。特に甲子園の3回戦から準決勝までの3試合は横浜、近江、日大三という強豪校に対し、いずれも1点差で逃げ切っている。
金農OBで、母校の監督を務めたこともある三浦健吾は、この秋の金農の快進撃をこう分析した。
「大輝の成長でしょうね。彼が投げれば、まあ、点数を取られることはほとんどないですから。秋田のチームの打線が弱いっていうのも、あるとは思うんですけど。あとは兄貴のDNAかな。持ってるんですよ。完全に負け試合なのに相手にエラーが出て同点に追いついたり。あいつが投げてっと、不思議なことに勝ちが転がり込んでくる」
「勝ち進めば甲子園」東北大会で…
東北大会の初戦、久慈戦も、いかにも金農らしい戦いになった。2点を先制され、8回にようやく追いつき、そこからタイブレークに持ち込んで3-2で辛くも勝利する。
4回からロングリリーフした吉田大樹は安定した投球を披露し、この秋、3度目となったタイブレークでも三たび、無失点で切り抜けた。
マウンド上でのふてぶてしいまでに落ち着いた態度や、時折、球場に響き渡る雄たけびは兄・輝星を彷彿とさせた。大輝が言う。
「今はまだ(兄に)負けていると思うんですけど、ストレートの質とか、気迫は負けたくないです」
キャプテンを務める「4番・センター」の高橋佳佑も、この秋、大輝の潜在能力を再認識させられたという。
「練習試合と公式戦では、1球目から気持ちの入り方がぜんぜん違いましたね。本当に気持ちの入った球は打たれる気がしなかった。あいつは人から見られるのが好きなほうなので、本番に強いし、向いてるんだと思います」
来春の選抜大会から、東北の出場枠は2から3に増えた。したがって、東北大会であと1勝してベスト4入りを果たせば、甲子園が見えてくるはずだった。
〈つづく〉