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「うーん、あまりにもひどい」9歳長男が突然ブラジル名門クラブから退団通告…それでも父が「うまく社会に入り込めている」と語るワケ
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byIBER CUP
posted2023/11/25 17:03
男女のブラジル柔道監督を務めた藤井裕子さんの長男・清竹君はフットサル、フットボールの技術を磨いている
「フラメンゴの場合、昨年末の時点で2人、清竹と同じタイミングで2人、さらに練習が始まってからも2人が退団を言い渡されています」
――うーん、それはあまりにもひどい。どうしてそんなことをするのでしょうか?
「それがよくわからないんですよ。組織内の意思疎通に問題があるのかもしれないし、他クラブに選手を取られないようにわざと在籍メンバーの決定を引き延ばしているのかもしれない」
――いずれにせよ、世界中に名前が轟いているフラメンゴほどの名門クラブがまだ年端もいかない子供に対してそんな理不尽なことをするというのは驚きですね。シーズンが始まる直前になってフットサルチームからの退団を言い渡されて、清竹君は大きなショックを受けたのではないでしょうか?
「もちろん、そうですね。復帰したアロウカでも、しばらくは調子が良くなかった。意気消沈しているのが感じられました」
――それは当然でしょう。しかも、まだ9歳の少年ですから。
「でも、しばらくすると気を取り直し、本来のプレーができるようになりました」
――それは大したものですね(注:この頃の清竹君について、裕子さんは「息子ながら、よく気力を回復したと思って目頭が熱くなった」と語っている)。アロウカのコーチに清竹君について聞いたところ〈身体がしっかりしており、きちんとボールを止めて蹴ることができる〉と褒めていました。課題を聞くと〈もう少しプレーにスピードが加われば……〉と言っていました。
「そうですね。フットサルではフィジカル能力の差はあまり目立たないけれど、ピッチが広いフットボールではそれが露わになる。ボタフォゴのフットボールチームの選手は、みんなとても足が速い。この年代の日本人では考えられないような俊足の持ち主が何人もいる。やはり、フィジカル能力では多少のハンディがあると思います」
父もフットボールを通してブラジル人気質を…
――麻椰ちゃんについては?
「とても明るくて活発。マンション(注:高層マンションが10棟以上立ち並ぶ広大なエリアの中にあり、サッカーコート、テニスコート、プール、子供のための遊技場、庭園などが完備している)の敷地内で体操、水泳、柔道、ジャズダンスなどを習っています。毎日がとても楽しそうで、伸び伸び育ってくれています。うちの家族の中で、マンションの住人から一番知られているのが麻椰じゃないかな」
――みんなキャラが立っている藤井家の中で一番目立っている、というのがすごいですね(笑)。