「まあな、延長12回を考えたら3人は投手を残しとかなならんし、次の回の先頭が投手からやったから」

　岡田監督の佐藤交代の説明である。

　そしてその裏にはオリックスの中川圭太外野手が落球というミスを犯したが、結局、それを活かせず勝ち越し点を奪えなかった。

　勝負は流れのやりとりだと言われる。

　その言葉通りだとすれば、阪神にとっては完全に流れが相手に傾いていくゲーム展開の中で迎えたのが、8回の守りだった。

　案の定、招いたピンチ。

　先頭の紅林弘太郎内野手が中前安打で出る。送りバント失敗で1死となったが、廣岡が中前に弾き返して1死一、三塁。そこから中嶋監督と岡田監督の駆け引きが始まる。

　まず動いたのは三塁側の中嶋監督だ。

　代打に左のT−岡田外野手を送る。

　すかさず一塁側の岡田監督がベンチを出ると球審に右の石井投手から左の島本浩也投手にスイッチ。すると今度は中嶋監督が代打の代打に安達了一内野手を告げた。

　流れに乗って押しまくる中嶋監督に対して、防戦に必死の岡田監督。

8回1死一、三塁の場面で登板した島本浩也　©︎Nanae Suzuki

　しかし島本が期待通りに安達に外野飛球も許さず三塁へのゴロに抑えて、三塁走者を本塁でアウトにすると、そこで岡田監督が“攻勢”に転じたのである。

湯浅投入ーーシーズン中なら絶対やらん起用法

「シーズン中なら絶対にやらんやろ」

　試合後にポツリと漏らした勝負の一手――湯浅京己投手の投入である。

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