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「ビーチバレーは個性を発揮できる競技」 東京五輪代表・村上めぐみが考える競技の未来「小柄でも、バレーでトップだった経験がなくても」 

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吉田亜衣

吉田亜衣Ai Yoshida

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photograph byL)Getty Images、R)Asami Enomoto

posted2023/11/05 11:02

「ビーチバレーは個性を発揮できる競技」 東京五輪代表・村上めぐみが考える競技の未来「小柄でも、バレーでトップだった経験がなくても」<Number Web> photograph by L)Getty Images、R)Asami Enomoto

日本代表として東京五輪に出場し、現在は選手会長を務めるビーチバレー選手の村上めぐみ

「バレーでトップだった経験もない。それでも…」

 とはいえ、当初の目標に「オリンピック出場」はまるきりなかった。村上は大学卒業後、新潟国体のために結成された地域密着型チームの上越マリンブリーズに入団した。新潟国体で優勝し、その後は出身の福井県の会社からサポートを受けて活動。代表決定戦で優勝し、2014年韓国で開催されたアジア競技大会に出場を果たした。

 ひとつひとつ目の前の目標をクリアしその後、7年ペアを組んだ石井美樹(湘南ベルマーレ)とともに日本代表チームとして突き進んできた。

「昨日より今日、今日より明日、と思ってやってきました。ただ、それだけ」。オリンピック出場は、その想いを積み重ねてきた結果に過ぎなかった。新潟でビーチバレーボールを始めて14年の月日が経っていた。あきらめずに到達した舞台からはどんな景色が見えたのか。

「やり切ってみて、わかったことがたくさんありました。私のように身長が小さくてバレーボールでトップだった経験もない。それでも、自分次第では目標を叶えられるけれど、『普通』の域にいては叶えられない。自分のことを活かしてくれる能力の高いパートナーとともに、自分の限界に挑戦しながらチームを作っていく作業が必要でした」

究極のチームスポーツ

 ビーチバレーボールは、「2人」でボールをつなぎ攻守を展開する究極のチームスポーツだ。相手との心理的な駆け引き。また変化する自然環境に対応するため、その都度コミュニケーションを図りながら戦術を仕掛けていく。技術だけではなく、心もピタリと重ならなければ、ボールはつながらない。

「パートナーとは休みの日以外、四六時中ずっと一緒にいたので、お互いのいいところも悪いところも受け入れることになります。これが口で言うほど、簡単なことではないんですよ(笑)。でも、一緒にいるとパートナーがどんな考えを持って取り組んでいるかわかります。だからこそ、必死な顔してギリギリつないでくれたボールは絶対につなぎたい。仮に間に合わないと思っても気持ちを持っていれば、ボールはつながるんですよ。全国のバレーボールをやっている子どもたちには、ビーチバレーボールは大変なこともたくさんあるけれど、間違いなくやりがいはあるよ! と言いたいです」

 村上の言う「2人」の共同作業こそが、ビーチバレーボールの競技特性であり、魅力のひとつ。パートナーと向き合う姿勢は、競技の中だけではない。生活や社会の中でも必要な術とも言えるコミュニケーション能力が磨かれていく。

【次ページ】 「プロとアマが混在」ビーチバレー界の現状

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