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プロ野球PRESSBACK NUMBER
日本ハムがドラフト6位指名もJR東日本へ…“最後の指名拒否”山口裕次郎は駅員になった 本人が明かす、その後の野球人生「どれが正解か分からなくなって…」
posted2023/11/04 11:04
text by
内田勝治Katsuharu Uchida
photograph by
Yu Saito
監督、チームメイトは応援してくれた
山口さんの選択に、周囲も騒がしくなっていた。「社会人に行っても頑張って」といった激励も多かったが、「日本ハムに行かなかったことで、指名できるはずの枠が一つ減ってしまった。そのことに対してどう思っていますか」などの辛辣なコメントも散見された。ドラフトで支配下指名を受けながら入団を拒否した選手は2011年日本ハム1位の菅野智之(巨人)以来。山口さん以降は現在まで一人もいない。
「当時の監督や部長からは『あまり気にするな』と言われていました。一緒に野球をやってきた仲間やチームメイトは応援してくれていて、そこに対する気持ちの揺れはありませんでした」
早く結果を出したいという欲がありすぎて…
社会人でレベルアップして、3年後にドラフト上位でプロ入り――。そんな青写真を描いて入社したJR東日本では、結果を求め、試行錯誤を繰り返していくうちに、本来の自分を見失っていった。
「納得のいかない結果が出ると『どこがダメなんだろう』と悩んで、いろいろやっていくうちに、どれが正解か自分の中で分からなくなって……。早く結果を出したいという欲がありすぎて、少しダメだった時に『このやり方は間違っているんじゃないか』って思ったりしていました」
高校の時は「ほとんど何も考えてなかった」と振り返ったように、細かいフォームのメカニズムなど気にせずに、ただがむしゃらに腕を振っていれば結果はついてきた。ただ、社会人の打者はそんなに甘くはない。今までなら空振りが取れた変化球は簡単に見逃され、少しでも甘いコースに入れば痛打された。
映像と自分の理想とのギャップ
フォームにも悩んだ。高3の春、大阪桐蔭を1失点完投で抑えた時のような「自分が一番ストレスなく腕が振れる位置」を探るあまり、スリークオーターからさらに下へと腕が落ちてしまっていた。