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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
車掌、作業療法士に研修医も!? “平均年齢28.8歳”放送大学関西チームが箱根駅伝予選会参加のナゼ「仕事と家庭と競技と学業と…」おっさん大学生の青春
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byShunsaku Sakai
posted2023/10/20 17:15
平均年齢28.8歳の「おっさん大学生ランナー」たちが集った放送大学関西チーム。彼らが予選会に挑んだ経緯とは…?
「いまの学生たちより経験がありますから。むしろプラスに捉えています」
そう話すのは村上である。放送大はキャリアアップを目指す社会人学生も多く、今回登録したメンバーの平均年齢は28.8歳。その肩書きもユニークだ。
「車掌ランナー」「研修医ランナー」「パパランナー」。
作業療法士の資格を持ち、大阪府内で障がい者の就労支援をサポートする仕事に従事する村上も9月に30歳になった。
「みんな仕事をしていて、限られた時間の中で仕事と家庭と競技と勉強と、3つ4つ、いろんな何足ものわらじをはいてやっています。その中では“箱根駅伝”は、僕個人としてはすごくやりがいのある目標でした」
創部はいまから3年前。そのいきさつは…?
創部は2020年4月。立ち上げメンバーの村上がその経緯を明かす。
「関東の放送大にもともとある陸上競技部に入部して、関東学生陸上競技連盟(関東学連)に登録して予選会を走りたかったのですが、大阪に住んでいるため、ルール上、できませんでした。創部当初は箱根の予選会に出場するのは、あきらめていた状態でした」
駅伝を走りたい――。
その思いを同じ市民ランナークラブで走っていた山口雄也と分かち合い、メンバー探しに奔走。創部わずか2年で1万m上位8人の合計タイムによる審査が必要な、丹後大学駅伝(関西学生対校駅伝競走大会)出場にこぎつけていた。村上は偽りのない思いを明かす。
「箱根への憧れというよりも、純粋に予選会を目指して、チームで頑張っている姿を羨ましいと思っていました。正月の箱根はずっと見ていました。でも、自分が予選会を走るなんて、考えたこともなかったです」
走るのが好きだった。中学から陸上競技を始め、大阪・泉陽高から大阪府立大(現大阪公立大)に進んだ。大学では自身の不振が響いて、チームとして丹後大学駅伝出場に届かなかった。ふとした瞬間に、胸にうずく苦い思い出だった。社会人になっても、平日は仕事が終わった後、午後7時頃から走り、週末は部員で集まって練習した。