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「一つだけお願い…」ロッテ・吉井理人監督はそのとき何を切り出した? 延長10回3点差から大逆転…“劇的突破”を叶えた指揮官の「言葉術」
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2023/10/18 12:20
大逆転劇でのCSファイナル進出。選手たちは歓喜の輪を作った
吉井理人監督は静かに語り始め、時に熱を帯びながら強く激しく選手たちに呼びかけた。選手たちの言葉も聞き、悔しい想いをみんなで共有するとこんな言葉で締めた。
「やり返すチャンスはある。みんな気持ちを切り替えて頑張っていこう」
指揮官の言葉が持つ「力」
首位とは最終的に15.5ゲーム差。あまりにも悔しいこの大きな差を、あえて音という物差しで伝えた。歓喜の大歓声に沸くグラウンドと、誰も言葉を発しない食堂の静寂。指揮官は途中、あえて声のトーンをあげながら熱く語りかけることで聞いているものに強烈なインパクトを残した。
「言葉は大事。自分の想いをどのように伝えられるか。だから日ごろから過去の偉人の言葉でなにか使えることはないかなあと考えたり、テレビでメジャーリーグや他のスポーツの監督の言葉を聞いて参考にしていることもある」
ノーベル物理学賞を受賞したアルベルト・アインシュタインの言葉を引用したこともあれば、映画「マネーボール」で俳優のブラット・ピット演じる敏腕ゼネラルマネージャーのビリー・ビーンの台詞を使ったこともあった。そうして選手たちを叱咤激励し、なにかを感じさせ、ここまで来た。
10月18日から舞台をバファローズの本拠地京セラドーム大阪に移してファイナルステージが始まる。シーズン2位のマリーンズは4勝。リーグ優勝チームのバファローズは3勝すれば日本シリーズ進出となる決戦の大舞台だ。ここでもきっと指揮官の言葉が生まれる。どんな時にどんな言葉を発するか。そしてそれを選手たちはどのように受け止めるか。またの機会にファンの皆様に紹介する機会があればと思う。