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「一つだけお願い…」ロッテ・吉井理人監督はそのとき何を切り出した? 延長10回3点差から大逆転…“劇的突破”を叶えた指揮官の「言葉術」
posted2023/10/18 12:20
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph by
Chiba Lotte Marines
言葉を重ねながら、ここまで来た。
吉井理人監督の言葉が選手たちを鼓舞し、時にはリラックスさせシーズンを歩んできた。
10月14日、本拠地ZOZOマリンスタジアムで行われたホークスとのクライマックスシリーズファーストステージ初戦。指揮官は試合前の円陣で「一つだけお願い」と選手たちの間に割って入った。珍しい光景に選手たちも息を呑んで次の言葉を待つ。
「ハッスルプレーでお願いします!」
人差し指を掲げて呼びかけた指揮官の笑顔に、選手たちの間から自然と笑いが起こりその肩からは余計な力が抜けていった。ちなみに指揮官の58歳の誕生日だった4月20日は選手たちに円陣へと導かれ、一声求められると「今日は一年で一番大事な日なので頼むで!よっしゃー、行こう」と冗談まじりに伝え大きな笑いをとっている。
吉井監督が振り返る。
「ハッスルという言葉は、やや抽象的で受け取ったそれぞれが色々な感じ方をしたかなと思う。でも、それでいい。それぞれが考えるハッスルをしてくれたらと思った」
試合は指揮官の想いをくみ取った選手たちがハッスルプレーをみせて、8対2で快勝。ファイナルステージ進出に王手をかけた。