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テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「オオタニは球場に来るの?」エ軍とネビン監督は“あいまいな情報”を繰り返し…“テレビに映らない”今季ラスト2戦を番記者は見た
posted2023/10/11 11:00
text by
柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph by
USA TODAY Sports/REUTERS/AFLO
大谷翔平は来るのか、来ないのか。話すのか、話さないのか。今季終盤のエンゼルスを取材する日本メディア、米メディアにとって、日々の大きなトピックの一つだった。
大谷は右肘じん帯損傷と右脇腹痛で9月16日に負傷者リスト(IL)入り。球団からは、19日からの遠征6連戦には同行せず、25日からの本拠地6試合でチームに再び合流すると明かされていた。だが、その後の情報のアップデートは乏しく、筆者を含めて疑心暗鬼になっていたメディアが多かった。
「オオタニと来週には会えるだろう」のはずが
大谷が9月19日にロサンゼルス市内の「カーラン・ジョーブ・クリニック」で右肘手術を受けてから4日が経過した23日、敵地ミネアポリスでのツインズ戦前でのこと。フィル・ネビン監督は、水原一平通訳を通じて大谷の状況を把握しているとし「彼は元気。自宅でゆっくりしている」と説明し、「以前にも(右肘手術を)経験しているから過程を理解している。今のところ全て予想通り。来週には会えるだろう」とも語った。
翌24日に球団は30日の本拠地アスレチックス戦でチーム内のMVPと最優秀投手を表彰するセレモニーを行うと発表。同賞の選出が有力な大谷が同日にグラウンドに姿を現す可能性が高いことが、ここで初めて分かった。
本拠地に戻った25日。まだ大谷は姿を現さなかった。26日、27日も来ず、オフを挟んだ29日も来なかった。手術明けは安静、静養が必須。できることも限られるため、自宅から球場に来るメリットはチームメイトやスタッフへの近況報告以外はほぼない。絶対に来なければいけない理由はないだろう。ただ、球団が「来る」と説明した以上、メディアの1人として大谷が「来る」ことを想定して、会見で「話す」ことを想定して、待つしかなかった。
29日のアスレチックス戦前。ネビン監督は「私はまだ彼に会っていません。ここに来ると決まった時間はありません。彼は(チームの)多くの人に今週末、私たちに会いに来るつもりだと言っていました」と説明した。知っていて情報を伏せているのか、本当に情報を知らされていないだけなのか。球団広報部も同様の情報を繰り返すだけだった。
ネビン監督が口にした「私の理解では」の意味
不安になるのは直近で前例があったからだった。