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テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「オオタニは球場に来るの?」エ軍とネビン監督は“あいまいな情報”を繰り返し…“テレビに映らない”今季ラスト2戦を番記者は見た
text by
柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byUSA TODAY Sports/REUTERS/AFLO
posted2023/10/11 11:00
レギュラーシーズンのラスト2試合に姿を現した大谷翔平
大谷はフリー打撃で右脇腹を痛めた4日以降、11試合連続で欠場したが、この際も連日ネビン監督は試合に「出る」可能性を示唆。結局、出場しないまま今季残り試合の欠場が決まった。本当に大谷は来るのか。球団からの情報の信憑性を疑わざるを得なかった。
本拠地に戻ってきた25日以降、大谷の球場入りを予測し、選手が出入りする球場外の駐車場で複数のメディアがマークを始め、筆者もそこに足を運んだ。集まっていたファンは日米含めて10人ほど。情報が明かされないなら、自らの目と足で確かめるしかない。ここまでくると、大谷が球場に現れること自体が注目度の高い「ニュース」になっていた。
そして、チーム内のMVPと最優秀投手を表彰するセレモニーが行われる30日。試合前のネビン監督の会見が行われた午後4時の段階でまだ大谷は姿を見せていなかった。しびれを切らした米メディアが、再びネビン監督に問うと「(大谷が球場に現れるかは)私の理解ではイエス。会ったら彼の肘を痛めないように強くハグをしたいね」とコメントした。
なぜ当日になっても“私の理解では”という言葉を使ったのかは理解できない。ファン殺到のパニックなどを恐れているなら、事前報道禁止、張り込み禁止など、他に対策はあったように思う。少なくとも年間を通して取材する日米報道陣に、約束を守れないようなモラルのない人間はいない。
大谷が本当に来るのか、不安なファンは多かっただろう。ネビン監督は本当に知らなかったかもしれないが――然るべき球団関係者が何かしらメディアに説明をすべきだったのではないだろうか。
“来るはず”と信じた結果、水原通訳と大谷が…
その後、「大谷は球場に来る?」と誰に聞いても「I hope so.(そう願っているよ)」の返事のみだった。
ただ、エンゼルスを取材して6年目。チーム内のMVPと最優秀投手が表彰される恒例のこのイベントに、選手自身が出席しないイメージは湧かなかった。大谷は来る。そう信じて再び駐車場へ向かった。
駐車場に到着すると、大谷を待つファンの数は日米合わせて50人ほどに増えていた。待つこと10分。いや、そこまで経っていないかもしれない。午後4時37分。ついに大谷が来た。水原通訳が運転する黒いSUV車で目の前を通過し、球場外からは死角となっているフェンスの向こう側に車は停まった。
その後、大谷はすぐに水原通訳とともにボールボーイのスティーブ・パルド氏が運転するカートに乗り換え、再び目の前を通過。黄色い歓声が沸き起こる中、スマートフォンのカメラで連写した。数十秒間のあっという間の出来事だった――。
<第2回に続く>