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競馬PRESSBACK NUMBER
「バゲットは約1120円…“歓迎”など日本語表示も」「クレカで馬券買える!」凱旋門賞ロンシャン探訪記…ファン視点で見て撮った
text by
大川慎太郎Shintaro Okawa
photograph byShintaro Okawa
posted2023/10/08 17:00
ロンシャン競馬場のパドック。弾丸日程で凱旋門賞へと訪れた
ロンシャン競馬場へ行くには、観光客がよく使う地下鉄の1番線(自動運転!)でパリの西側に向かい、ポルト・マイヨー駅で降りる。そこから競馬場まで無料のシャトルバスが運行されているのだ。「スリにご注意ください」という駅の日本語アナウンスに身を固くしながらバス乗り場に向かうと、日本人らしき方々とポツポツ遭遇した。
13年のオルフェーヴルの2度目の挑戦の時はもっと日本人の数が多く、はしゃいでいるファンも多かったように思う。レース前日に、パリのオペラ座界隈でオルフェーヴルのかぶりものや旗を持ったファンたちと遭遇したのは楽しい思い出だ。今年は全体的に落ち着いた雰囲気だった。
入場料がなんと約1万円!
スルーセブンシーズの勝算が薄いと見たから海外まで応援に来ない? そうではないだろう。円安と物価高が大きな要因ではないか。コロナ禍後、日本の株価は上がっているが、円安はひどい。2013年は1ユーロが120円から130円程度だったが、今年は160円。30%も上昇していればさすがにきついし、航空券の値段も驚くほど上がっている。
バスを降りて競馬場に向かうと、「ティケット、ティケット」と言いながら周囲に鋭い視線を飛ばすガラの悪そうな男性が7、8人うろうろしていた。ダフ屋だ。凱旋門賞で? 別に入場券は売り切れていないのに?
首をかしげながら入場ゲートへ向かう。入場券は事前にネットで購入済みで、スマホの電子チケットのバーコードを入り口でスキャンするだけだ。
私が購入したチケットは60ユーロ! 9600円だから約1万円だ。これは中央スタンドとパドックに入れるチケットで、もっと高いものもある。ゴール前に隔離された空間があり、そこには90ユーロのチケットを購入した人しか入れない。なおいちばん安い20ユーロ(それでも3200円!)のチケットは、スタンドの端に追いやられ、パドックにも入れない。金の多寡によって快適さが保証されるのだ。アラブの資本が入ったことがその象徴で、凱旋門賞の正式名称は「カタール凱旋門賞」である。
とはいえこの料金が高いというのは日本人独特の感覚なのかもしれない。日本の競馬場の入場料は開催日でもたったの200円。それで朝から夕方まで楽しめるのだ。パドックも観られるし、ゴール前に隔離された空間もない。逆に外国の競馬ファンからすれば安すぎる、と見えるのではないか。物事はすべて相対化しなければいけない。海外競馬を知ることによって、日本競馬をより深く理解できるのだ。
競馬場には「歓迎」「ギフトショップ」など日本語が
競馬場に入ると、いたるところに日本語表示がある。