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「鈴鹿に行けば再び速くなる」ついに連勝ストップのフェルスタッペンが語る日本GPへの自信《根拠は鈴鹿スペシャル!?》
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images / Red Bull Content Pool
posted2023/09/22 17:01
日本GPでの戴冠とはならないことが確定したフェルスタッペンだが、鈴鹿に懸ける思いは強い
そのフェルスタッペンが駆るRB19に搭載されているパワーユニット(PU)を設計・製造しているホンダ・レーシング(HRC)にとっても、もちろん鈴鹿は特別な場所だ。今年は久しぶりに「鈴鹿スペシャル」が投入されることが予想される。
鈴鹿スペシャルとは、かつてエンジンの開発が自由だった時代にホンダが地元開催に向け特別に準備したエンジンのことだが、PUの年間使用基数が制限され、かつ開発が凍結されている現在のF1で、鈴鹿スペシャルの投入は現実的に不可能だった。
ところが、今年は開幕当初は年間3基だったルールが、シーズン途中で4基に増えたため、もともと信頼・耐久性に自信があったHRC製のPUを使用するレッドブルが、鈴鹿で4基目を投入することは公然の秘密となっていた。もちろん、開発が凍結されているため、スペックはここまで使用してきた3基と同じだが、数レース使用したPUより新しいPUのほうが馬力がある。
鈴鹿への特別な思い
今年の鈴鹿はホンダにとって32年ぶりの歓喜の舞台となるかもしれない。レッドブルは現在、コンストラクターズ選手権で2位に308点差をつけ首位を独走している。日本GP終了時点でその差が309点以上となっていれば、HRC製のPU「ホンダRBPT」を搭載したレッドブルがコンストラクターズ選手権を制する。
ホンダが最後に鈴鹿でコンストラクターズタイトルを確定させたのは90年のこと。ただし、この年はエンジン供給先のマクラーレンとライバル勢がすべてリタイアしてのほろ苦い美酒だった。
ホンダとしては第4期の活動でなし得ていない鈴鹿での1-2フィニッシュを果たして、レッドブルとともに祝杯を挙げたいところだ。
そして日本人として、ただ一人F1に参戦している角田裕毅も、特別な思いで鈴鹿に凱旋する。
「F1ドライバーとして初めて凱旋した昨年、最初のコースインで皆さんから送っていただいた声援や拍手の響きはいまでも鮮明に覚えています。だから僕も、クルマが持っているポテンシャルをすべて引き出し、自分が持っている力を出し切ったつもりでした。ただ、結果は13位。今度こそ日本にいる皆さんの前でポイントを取りたい。鈴鹿に来ていただいた皆さんと一緒にレースウィークの楽しみをシェアしながら、昨年以上の予選と素晴らしいレースができたらいいなと思っています」
ホンダと角田の思いは成就するのか。フェルスタッペンの言葉を信じて、吉報を待ちたい。