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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「僕が一番感じたのは、やっぱり大谷翔平選手なんです」今永昇太30歳が語る“あれから”…痛感した「メジャーリーガーに絶対投げちゃいけない球」
posted2023/09/14 11:08
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Naoya Sanuki
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ダルビッシュさんから聞いた話
WBC初登板の1次ラウンド第2戦・韓国戦。第2先発としてマウンドに上がった今永は、3人目の打者に2球続けて自己最速の154kmをマークした。5年ほど前から「球速アップ」を目指して取り組んできたことが、あの大一番の舞台で結実したのだ。
「宮崎合宿の時に、ダルビッシュさんからこんな話を聞いたんです。『メジャーリーグに行ったばかりの頃に全くできなかったことが、どんどんできてくる。人間の脳というのは初めは抑制のほうに働きかけているけれど、凄い選手たちを見ると脳が自分もできる、というふうに勘違いして、そういう能力を発揮できる時がくるんだ』と。
僕は150何km投げたいとずっと求めてきたんですけど、一方で投げられると思っていなかった部分もあったと思う。でも代表合宿に行ったら、佐々木朗希がいて、大勢がいて、山本由伸がいて……。球が速い選手のキャッチボールとか色んなことを見て、すごいなと思う半面、自分にもできるんじゃないか、と思ったところもあった。他の人のいいところを目で見て取り入れて、あっ、こういうふうに使えば球が速くなるのかとか、こういう練習をしているのか、というのが無意識に身に付いていたんですね。これまでの自分の積み重ねと、宮崎で得たものが噛み合って、あの瞬間があったんじゃないかなと思うんです」
栗山監督「全部俺は見てきたから」
準々決勝・イタリア戦でも中継ぎとして1イニングを投げて無失点に抑えた今永に、「大抜擢」が告げられたのはマイアミに移動して行われた練習初日のことだった。キャッチボールをしていると吉井理人投手コーチ(ロッテ監督)に声をかけられた。
「あそこに栗山監督がいるから、ちょっと行って」
指揮官の元に歩み寄ると、柔和な表情でこう告げられた。