今季の山本由伸はWBC代表として1次ラウンドのオーストラリア戦で先発し4回を零封し勝利投手。アメリカでの決勝ラウンドではメキシコ戦でリリーフし3.1回自責点2、2試合7.1回12奪三振、防御率2.45という成績を残した。

WBCでの山本由伸　©Naoya Sanuki

　過酷なWBCでの消耗を考えて、中嶋聡監督は絶対的なエースの山本を開幕から5試合温存し、4月6日の本拠地でのソフトバンク戦で初登板させた。また、5月にはコロナの特例措置でローテを1回飛ばしている。さらに7月にも登板間隔が空いた時期があった。

エースに無理をさせなくていいオリ投手陣の急成長

　中嶋監督は、2年連続で圧倒的なパフォーマンスを見せてきたエースに無理をさせなかったのだ。ポスティングによるMLB移籍が確実視される山本を、健康な状態で送り出そうとの気持ちも見て取れる。

　それができたのは、オリックスの先発投手陣が急成長しているからだ。

〈過去3年間、オリックスの先発投手陣〉※23年は9月10日終了時点
2021年
山本由伸26試18勝5敗193.2回206振 率1.39
宮城大弥20試10勝4敗134.1回112振 率2.21
田嶋大樹24試8勝8敗143.1回135振 率3.58
山﨑福也22試8勝10敗116.1回75振 率3.56
増井浩俊15試3勝6敗71回45振 率4.94

2022年
山本由伸26試15勝5敗193回205振 率1.68
宮城大弥24試11勝8敗148.1回127振 率3.16
山岡泰輔22試6勝8敗128回99振 率2.60
田嶋大樹20試9勝3敗125回92振 率2.66
山﨑福也24試5勝8敗114.2回91振 率3.45

2023年
山本由伸20試14勝5敗143回145振 率1.26
宮城大弥19試9勝4敗126.1回106振 率2.35
山﨑福也19試9勝4敗108.2回69振 率3.40
山下舜平大16試9勝3敗95回101振 率1.61
田嶋大樹10試5勝3敗60.2回47振 率3.86

　過去3年のオリックスは、エース山本、これに次ぐ左腕宮城までは計算できたが、それ以降の投手は安定しなかった。

　それでもパ・リーグ屈指の先発陣であり2連覇できたのだが、今季は山本、宮城に次いで、プロ初登板で開幕投手に抜擢した山下舜平大が、山本に匹敵する活躍を見せた。宮城は3完封をするなど好調、山﨑福は崩れることも多かったが、シーズン終盤には東晃平という新戦力も台頭した。山下の腰の故障が気になるが、昨年に比べても先発陣の信頼性は格段に上がった。昨年までと比べて、中嶋監督は安心してエース山本を休ませることができたのだ。

視察したヤンキースGMも大喜び

視察する米大リーグ・ヤンキースのキャッシュマンＧＭ（中央）　©JIJI PRESS

　ノーヒットノーランのNPB最多記録は沢村栄治（巨人）と外木場義郎（広島）の3回。また史上誰も成し遂げていない「3年連続ノーヒットノーラン」の期待もかかるが、順調にいけば来季、山本はMLBに挑戦する。9日の試合を観戦していたヤンキースのキャッシュマンGMが大喜びしたという報もあるように、これは既定路線の様だ。

　であれば、山本は日米をまたいでの「3年連続」達成に期待がかかる。

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