ただその一方で〈食べることは好きなのですが、太りやすいので気をつけています〉というニュアンスのこともおっしゃっていました。対局の時はフルパワーで力を発揮するためにいっぱい食べるそうですが、その辺りのメリハリは、全て将棋のためにささげるという意思を感じさせます。

「棋士人生で得た全てを出します」に感じる覚悟

　その永瀬王座の強い決意は、これまでの言葉からも察することができます。研究パートナーである藤井七冠について「普段から将棋を教えていただいていて、こちらが引き上げていただいているばかりです」とリスペクトする一方で、6月の取材には「今までの棋士人生で得た全てを出します」と答えています。将棋に一直線に向き合っていることが分かるとともに、自身のキャリアにとって本当に大きな戦いだと捉えているのだなと感じます。

©Takuya Sugiyama

　今期の順位戦A級で、私も永瀬王座との対局が決まっています（※2024年2月29日の9回戦）。大きな舞台で永瀬王座と勝負ができることは楽しみですし、自分自身の成長のためにも――藤井七冠の指し回しを含めて、王座戦の動向をしっかりと見届けよう。そう心しています。

＜第1回、第2回に続く＞