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「ツル、ダメだよ」大谷翔平の“相棒”キャッチャーが「対戦打者に叱られた」話…和田一浩の“試合中のひと言”に、鶴岡慎也はなぜ喜んだか?
text by
鶴岡慎也Shinya Tsuruoka
photograph byJIJI PRESS
posted2023/09/11 17:00
日本ハム時代、鶴岡慎也とマウンド上で会話を交わす大谷翔平(2013年)
「ツル、ダメだよ」対戦打者・和田一浩に“怒られた日”
印象に残っているのは、セ・パ交流戦における和田一浩選手(中日)との対戦で、スライダーで四球を出したときです。和田選手は中日黄金時代の4番打者で、毎年打率3割30本塁打をマークするような強打者でした。
ストレートが右打者の頭のほうに抜けるし、変化球は指に引っ掛けてストライクが入りません。当ててしまったら大変です。私は大谷選手に対し、ストライクの確率が高いスライダーを要求しました。しかし、ボール……。
「ツル、もっとストレートを投げさせなきゃ、ダメだよ」
それだけ言って、和田選手は四球で一塁に歩きました。
(将来性あふれるピッチャーなのだから、小手先の変化球に頼るのではなく、ストレートで勝負させなさい)
言いたかったのは、そういう意味だと私は理解しました。
相手からも一目置かれた“大谷の未来”
プロ野球はチームの勝敗、個人成績が大事です。しかし敵であっても、将来を嘱望される若人を試合の中で育てていこうと考えてくれる選手がいることを感じたのは嬉しかったですね。それだけ大谷選手が類いまれな素質の持ち主だったのです。
投手の力量を表す指標として、「1試合9イニング平均の奪三振数」「1試合9イニング平均の与四死球数」があります。13年プロ入り時と22年メジャー成績を比較してみました。奪三振数は6.71個から11.87個に、与四死球数は4.82個から2.39個に。10年の時を経て、双方とも段違いの完成度を見せています。
〈後編では、鶴岡が衝撃を受けた大谷翔平の“モリモリの筋肉”、そして「超一流の理由」について語られます〉