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報酬380億円オファーを蹴ったFWや〈ミリンコビッチ=サビッチOUT→鎌田大地IN〉などに見るサッカー人生の選択…「俺はもう十分に稼いだ」 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byTakuya Sugiyama/JMPA

posted2023/09/16 17:02

報酬380億円オファーを蹴ったFWや〈ミリンコビッチ=サビッチOUT→鎌田大地IN〉などに見るサッカー人生の選択…「俺はもう十分に稼いだ」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

カタールW杯の鎌田大地とミリンコビッチ=サビッチ。今夏のラツィオのINとOUTにも、サウジマネーとサッカー人生の考え方が見えてくる

 ただし、ビン・サルマーン王太子は曰くつきの為政者であり「今後の国家改造計画と巨大投資は王太子の権力維持と原油価格市場によるだろう」と冷静な見方をする報道もある。

 カタールW杯を経た2023年の夏は、それまで傍流や裏側に潜んでいたアラブ世界が、サッカー界の表舞台を自負する西欧世界に真正面から侵攻を開始した夏だと記憶されるだろう。

自身と家族の将来か、欧州でのプレーか

 1986年の冬にミランを買収したベルルスコーニは、その夏にMFロベルト・ドナドーニやFWダニエレ・マッサーロ、翌年にはMFカルロ・アンチェロッティにMFルート・フリット、FWマルコ・ファンバステンら国内外のスター選手や大物を買い集め始めた。ベルルスコーニが自らのメディア産業や後の政治活動にミランを利用したのは疑いがない。

 だが、少なくとも彼はミラン自体で儲けを出そうとは露ほども考えていなかった。金儲けなら放送業でも不動産業でも別の分野で存分にできる。サッカーはあくまで情熱の対象だった。

 今夏、サウジアラビアからの巨額オファーを受けた選手たちは、自身と家族の将来と欧州でプレーできることを天秤にかけて、苦悩し葛藤したにちがいない。

 伝統的な価値観と地に足がついた人生を大事にしながら、よりサッカーの高みを目指したい。セリエAに残った選手たちとイタリア代表に共通する思いは結果に結びつくだろうか。

第1回第2回から続く>

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《142億円で強奪》「金の亡者。裏切り者」「信頼関係にヒビ」批判殺到の欧州王者イタリア→サウジ電撃移籍…大モメ監督人事の真相

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