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「自分が幸せになることで…」ウエイトリフティング・三宅宏実(37歳)が語っていた“結婚観”…背景に「尊敬しています」と語る“両親の存在”
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/08/18 17:05
2016年のリオ五輪で銅メダルを獲得した際の三宅宏実と父・義行氏
三宅はいわゆる「親子鷹」として知られる。
幼少期からピアノを習い、中学生になると最初は手芸部、途中からテニスを始めた。
3年生の夏、テレビで目にした光景が運命を変えた。それは2000年のシドニー五輪だった。家族に誘われて中継を観るうちに、選手たちの姿に心が動いた。中でもウエイトリフティングで女子が重いバーベルを持ち上げる姿は心に残った。そして自分もやってみたいと思った。父の義行が1968年メキシコシティ五輪で銅メダルを獲得するなど活躍したウエイトリフティングの選手であったこと、兄たちもやっていて競技を知っていたことも大きかっただろう。
父は元選手ではあったが、母も含め、娘の挑戦に最初は賛成しなかった。それでも時間を置いて父から「途中でやめない」「オリンピックでメダルを獲る」の2つの約束を守ることで認めてもらい、指導を受けることになった。義行氏は、以前の取材で「自分でやりたいと思ってやるものでなければ続きませんし、自分で乗り越えていくことはできませんから」と語っている。だから親子鷹ではあっても、三宅は敷かれたレールに乗せられたのではなく、自ら選んでスタートを切ったのだった。義行氏が語ったように、だからオリンピックに5度出場するなどやりきったと言えるところまで打ち込むことができたのではなかったか。
「自分が幸せになることで…」明かしていた結婚観
父とはときに衝突することもあったが、それでも三宅はこう語っている。
「父がいなければメダルは獲れていませんでした」
また、競技を始めて時を経るにつれて、自分の気持ちをよく尊重してくれたとも言う。
感謝の念を抱くのは父だけではなかった。ロンドン五輪を前にした時期に、三宅は言った。
「ウエイトリフティングは栄養面も重要ですが、母が管理をしてくれるなどサポートしてもらっているからこそだと思います」
父と母とに感謝するとともに、両親の関係も「尊敬しています」と語っている。
そして自身の結婚観については、イベントの席で明かしたことがある。