スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
日本人が知らない、なでしこジャパン“海外での絶賛ぶり”…米メディア「日本はランキング1位」、英国人記者「なぜノルウェーは失敗した?」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2023/08/10 11:04
W杯ベスト16でノルウェーを3-1で破り、試合後に笑顔を見せた長谷川唯と清水梨紗
余談だが、ベスト16のフランス対モロッコ戦の分析も素晴らしかった。代表では同じポジションに優秀な2人の選手がいる場合、それをどう使いこなすかが監督の課題となるとしたうえで、フランスは左サイドバックのセルマ・バシャ(リヨン)と、サキナ・カルシャウィ(パリ・サンジェルマン)のふたりが稀としか言いようがない見事なケミストリーを生んでいる――と書いている。
勝手な想像だが、コックス記者は日本とフランスの決勝を望んでいるような気がする。
2年前に敗れたスウェーデン
さて、その前に準々決勝のスウェーデン戦である。
スウェーデンの実績は日本を上回る。
2016年のリオデジャネイロ・オリンピックで銀、2019年のワールドカップでは準決勝敗退。2021年の東京オリンピックでは銀メダルを獲得したが、このとき、日本は準々決勝でスウェーデンに1対3で敗れている。
そして、2022年のユーロでは準決勝敗退。「準決勝以上」が彼女たちのスタンダードなのだ。
今回はどうか。CBSスポーツのヘレラ記者のスウェーデンについての短評を読んでみよう。
「グループステージ無敗、複数のゴールスコアラーがいるのが強み。彼女たちはピッチ上で、どんな状況にもアジャストメントできる対応力を見せてきた。ベスト16で対戦するアメリカにとっては静かなる脅威だ」
そしてスウェーデンはベスト16ではPK戦の末、アメリカを下し、日本と対戦することになった。
コックス記者は、イングランドの女子スーパーリーグ、スペインのリーガFのレベルが著しく上がっている状況で、スウェーデンが大きな大会で勝つチャンスはこれが最後かもしれない――と分析している。
2016年のオリンピック以来、あと一歩及ばないことが続いてきたスウェーデンと、昇り竜の日本。
8月11日(金)、山の日の夕方4時30分、キックオフになるが、さて、日本は誰を先発に並べるのか、どんな戦術でスウェーデンに臨むのか、楽しみでならない。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。