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[エースの実像]ダルビッシュ有「19年前の“ダルビッシュ塾”」

posted2023/08/03 09:01

 
[エースの実像]ダルビッシュ有「19年前の“ダルビッシュ塾”」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

text by

酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

PROFILE

photograph by

Hideki Sugiyama

WBC開幕前の宮崎キャンプで一躍話題となった“ダルビッシュ塾”。分け隔てなく優しく接するその面倒見の良さは、傍からは意外に映った。甲子園を沸かせた長身右腕は、3年時にキャプテンを務めている。果たして、どんな先輩だったのか? 宮城・東北高の後輩たちを訪ねた。

 韓流ドラマ「冬のソナタ」のヨン様が大ブームになっていた2004年の春、東北高校に入学したばかりの硬式野球部の1年生部員はそれどころではなかった。

『本物だ……テレビの人だ!』

 高山一輝は思わず声を上げそうになった。いまをときめくダルビッシュ有である。本隊から離れ、基礎トレーニングに励んでいた1年生のもとに、あの長身右腕の3年生がふらりと姿を見せたのだった。

 心がざわつくのも無理はない。

 数週間前の3月26日、センバツ初戦で熊本工を相手にノーヒットノーランを演じていた。その前年も夏の甲子園決勝に導き、常総学院に敗れはしたが、圧倒的な存在感で一躍、スターになった。一方で、人を射抜くような眼光で、ふてぶてしく、孤高のエースといった印象を醸し出していた。

 雲の上の存在のはずなのに、学校のグラウンドでは不思議な空気をまとっていた。名門校にありがちな厳しい上下関係とは無縁で、マウンドで見せる威圧感もない。

 あるとき、高山が「ダルさん」と呼びかけたら「有にしてくれ」と言われた。

「怖さが全然ないんです。有さんは、すごく優しい先輩で、いろいろ声をかけてくれていたし、聞いたことに対して、すぐに全部、答えてくれる方だったんです」

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