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甲子園の風BACK NUMBER
「よく、来れましたね?」蔦文也の記事に批判、池田高校を訪ねた日…徳島現地で対面した“池田野球部OB”の反応「え、あの記事を書いた人?」
posted2026/07/27 11:01
徳島県立池田高校、野球部練習の様子(2025年撮影)
text by

田中仰Aogu Tanaka
photograph by
NumberWeb
今回は、本書の第1章「発端」から、昨夏の池田高校ルポルタージュ記事に批判が殺到し、その後、再取材で池田町へ向かう場面を紹介する。【全2回の2回目/第1回も公開中】※肩書などはすべて取材時のもの
2025年11月。わたしは再び池田高校へ向かっていた。正直に言えば、行きたくなかった。逃げたかった。池田高校の野球部関係者が、3カ月前の記事に不快感を示しているという話を聞いていたからだ。
再取材の心境「キャリーケースを持ち上げて…」
東京から新幹線で岡山駅へ行き、特急「南風」に乗り換えた。
車窓を眺めた。列車が動き出した直後は中層マンションやホテルチェーンが立ち並ぶ見慣れた風景だったが、5分ほど走ったところで田園地帯に入る。収穫を終えた黄土色の田畑、民家やアパートが点在する市街地、色彩を失いつつある山間の木々。瀬戸大橋を渡れば四国に入る。香川から徳島へ縦断していく。
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線路沿いの建物との距離が少しずつ縮まっていく。建物は多くの場合が民家だ。窓もカーテンも開けっ放しで部屋の中が丸見え。そんな家も少なくない。すると、老夫婦が椅子に座ってテレビを見ていたり、洗濯物が無造作に干されていたりという剝き出しの生活が視界に飛び込んでくる。無遠慮に人の内側を覗いてしまったような、後ろめたい気持ちに襲われる。
岡山駅から1時間半で阿波池田駅に着く。正午過ぎ。厚くどんよりした雲が太陽を隠している。隙間から漏れる陽光が町を囲む山の中腹を照らす。その一部分がわずかに赤く色づきはじめている。
駅正面のアーケード街に向けて歩く。入口にある停車場でハイキングの服装に身を包んだ老夫婦がバスを待ちながら歓談している。その横を重い足取りでわたしは通り過ぎる。キャリーケースのキャスター音がいつもよりやけに響くような気がして、途中から持ち上げて運んだ。できるだけ目立ちたくなかった。
途中、宿泊する旅館で荷物を預けた。

