濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「この2年は“闇堕ち”の話題性」人気覆面レスラー、泣き顔の告白…飛躍を期すスターライト・キッドが語った「やりたい相手」とは?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byEssei Hara
posted2023/08/01 17:00
スターダムリーグ戦「5★STAR GP」での活躍を誓うスターライト・キッド
ヒールでも、暴れるだけでは終わりたくない
シングルで活躍できていないという感覚は、実はチームプレイヤーとしての優秀さを示すものでもある。“大江戸隊のキッド”は、反則攻撃で相手チームを痛めつける姿も含めて、いつもイキイキとしている。けれどスターライト・キッドはそれだけの選手ではないということだ。6月には、ライバルだと感じている鈴季すずとのシングルマッチが唐突に組まれたこともあった。本人としては、もっと大事にしたいカードだった。試合はイス攻撃でキッドの反則負け。あえて完全決着を避けたようにも見えた。
「すずは熱い試合ができる相手の1人。去年の5★STARでは負けてるし。しれっと組まれたシングルで勝っても借りを返すことにはならないんでね。でもシングルマッチでイスを使ったのは、特別な相手だからでもある。そこは大江戸隊で培った強さでもあるから。そういうふうに見てもらうといいかな」
大江戸隊のメンバーとしては、自由に暴れてリングをメチャクチャにするのが楽しい。けれど、それだけでは終わりたくない。シングルプレイヤーとして“赤いベルト”ワールド・オブ・スターダムや“白いベルト”ワンダー・オブ・スターダムも本気で狙う。そこをおろそかにしないためにも“全女イズム”という軸を確認したかったのかもしれない。
敗れたなつぽいへの本音「正直、嫉妬したよね」
今年の5★STAR GPは7月23日に開幕した。キッドはこのリーグ戦のテーマに“強さ”を掲げている。シングルで強さを示し、結果を出すための舞台だと。新しいマスクは髪が見える形。簡略化したと言ってもいい。それだけ動きやすく、夏の暑さ対策にもなる。キッド曰く「戦闘モード」のマスク。獣神サンダー・ライガーの“バトルモード”を思い起こさせる、勝ちにいくための出立ちだ。
だが、初戦はなつぽいに敗戦。ほとんど差はなかったが、直近の勢いの差が出たのかもしれない。なつぽいは“最強”のスローガンを掲げて7月16日のセンダイガールズ後楽園ホール大会に乗り込み、現代女子プロレスにおける強さの象徴の1人、橋本千紘と対戦している。敗れたとはいえ、その試合内容は絶賛された。キッドは地方遠征中、その評判をSNSで何度となく見たそうだ。
「正直、嫉妬したよね。橋本千紘という相手にも自分の強さを出したなつぽいに。だからこそ勝ちたかったんだけど」