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大阪桐蔭「気になる今年の強さ」…西谷監督が現地記者に語った“地方大会で負けない”ための大決断「あのエース前田悠伍なぜ登板少ない?」
posted2023/07/28 11:03
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Nanae Suzuki
予測された質問が当然のように投げかけられた。
準々決勝で大体大浪商を相手に11-2の7回コールド勝ちした試合後。大阪桐蔭・西谷浩一監督には、全国で多くの強豪が敗れていることについて質問が挙がった。
「小さい人間ですので、よそのことを見ている余裕がありません。それはわからないですね」
そう軽くいなした西谷監督だったが、その瞳の奥では今大会を勝ち抜いていく青写真が描けているように見えた。
準々決勝でも前田は登板せず…なぜ?
例えば、準々決勝の投手起用。ここから2試合は決勝を想定しての起用法になるが、エースの前田悠伍を先発させなかった。予定では「3イニングを3人ずつ繋ぐつもりだった」と説明している。
「誰が先にいくかは重要ではなくて、今日は2年生に頑張ってもらおうと。最初は平嶋(桂知)でいって、そのあとは境(亮陽)ということを考えていました」
大黒柱の前田を擁しながらも、「今年は投手陣全員で戦っていこうということです」との方針のようだ。だがこの日は嬉しい誤算があった。その平嶋が6回を投げ切る好投を見せたのだった。
準々決勝という舞台で先発して6回2死までノーヒットに抑えるなど1安打2失点の快投劇。下級生の平嶋が好投を見せたことは、大阪桐蔭にとって極めて大きな意味を持つ。
平嶋は試合をこう振り返っている。
「3年生の最後の夏なんで、1回1回、しっかり攻めていこうと思いました。その中での結果だった。コースに真っ直ぐが投げれていたのは良かった。しっかり抑えることができたんで、次もチャンスをもらって繋げられるようにしたい」
2年生2人を「投手に専念」させていた…
実はこの平嶋、もともと野手としてレギュラーを狙うチームの有望株という立場だった。スイッチヒッターで力のある打者として期待も高く、昨秋以降は捕手の練習もしていたほどだ。