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“中学生レスラー”の華麗な飛び技…「一番緊張した」チャンピオンとの一騎打ちで美蘭が見せた“成長の証” 受験勉強との両立が今後の悩み?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2023/07/27 11:01
2022年4月にデビューした新人レスラーの美蘭。板橋大会ではチャンピオン梅咲遥とシングルマッチを行った
デビュー1周年で新調したコスチューム
美蘭には、同じ板橋区出身の先輩もいる。ディアナでデビューしアメリカ・WWEと契約、現在はフリーで活動するSareeeだ。板橋大会のメイン後、マイクを握ったジャガー横田は言った。
「以前はSareeeが、ディアナをここ板橋に連れてきてくれました。今は美蘭がいます。みなさん、今日の美蘭の試合を見てビックリされたんじゃないでしょうか」
今は自分がいるから、ディアナ板橋大会がある。その意識は本人も持っていて、それがやる気にもつながっている。デビュー記念日を迎え、そこから板橋大会というのが美蘭の中での重要なサイクルになっているのだ。
この日のコスチュームは、デビュー1周年で新調したもの。ピンクがベースだった最初のコスチュームとは打って変わってブルー系だ。同じなのはアクセントに黒が入っていること。私服は黒が多いという美蘭のこだわりだ。中学生レスラーは、しかし大人が考える“中学生っぽさ”には収まらない。
「来年も板橋大会をやってもらえたらなって思います。その時もまた遥さんと試合がしたいです」
今の実力ではまだベルトには届かない。それは分かっているけれど、早くベルトを巻く可能性がある選手なんだとファンに思ってもらえるようになりたいと言う。そしてゆくゆくは、団体のトップになりたい。
「受験勉強は…」中学生レスラーの悩みと成長
同級生には、プロレスラーになったことを教えていなかった。それでも自然に伝わるもので「Yahoo!ニュースに出てたね」、「YouTubeで見たよ」と言われるようになる。本人も否定せず、聞かれたらプロレスの話をするようになったそうだ。
「先生には大会のチラシを渡しました」
プロレスを見る楽しみの一つは、選手の成長を見守り、応援することだ。美蘭に関してはその楽しみがとりわけ大きいと言っていい。
ただ、クリアしなければならないこともあるのだった。来年は中3で、そうなると高校受験が待っている。
「プロレスを続けながら受験勉強するか、プロレスをお休みするか、試合を減らすか……ちょっと今、考えてます」
中学生レスラーには中学生レスラーの悩みもあって、それを乗り越えた時にまた一つ成長するのだろう。20歳まであと6年もあって、なおかつ今の闘いぶりを見ると“大人”のレスラーになった美蘭はどれだけ凄い試合を見せてくれるんだろうか。楽しみで仕方がない。
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