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“中学生レスラー”の華麗な飛び技…「一番緊張した」チャンピオンとの一騎打ちで美蘭が見せた“成長の証” 受験勉強との両立が今後の悩み?
posted2023/07/27 11:01
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
ワールド女子プロレス・ディアナに所属する美蘭は昨年4月29日にデビューした新人レスラーで、本人の言葉を借りると選手生活は現在「2周目」になる。1周、2周と数える明確な節目が、デビュー記念日以外にもあるのだ。
2009年6月11日生まれ、14歳の中学2年生。デビューした時はまだ12歳だった。“中学生レスラー”として話題になったが、その前に練習生期間もある。つまり入門したのは小学生の時だった。
育成ノウハウがあっての“キッズレスラー”
知り合いに連れられて、地元で初めて見たプロレスがディアナ。新世代を担う梅咲遥のファンになった。頻繁に大会を見に行くようになると、すぐに選手やスタッフと顔なじみに。
自分でもプロレスラーになってみたいと思っていたら、社長の井上京子に“スカウト”された。所属メンバー用のジャージも用意してくれていた。地元の板橋区から道場のある川崎へ通う日々。中学校入学直後のデビューだったが、実はプロテストに合格したのは2021年の10月だ。その後に体を壊し、またコロナ禍の状況を見ながら4月のデビューになった。だから、もしかすると“小学生レスラー”になっていた可能性もある。
ここで疑問を抱く人もいるだろう。プロレスは中学生にもできるものなのか。あるいは、やらせていいものなのか。そう思って当然だ。ただ“キッズレスラー”という言葉もあるように、日本のプロレス界、特に女子では10代前半でデビューする選手がそれなり以上にいる。
もちろん、それは最低限の体力や受身といった条件をクリアした上でのことだ。業界最大手のスターダムも、AZMをはじめキッズレスラーを多数輩出。美蘭が所属するディアナは井上京子が社長を務め、大ベテランのジャガー横田も所属している。
キッズレスラーは、日本の女子プロレスという土壌、育成ノウハウから生まれたものなのだ。ディアナでは美蘭の先輩・ななみも13歳でデビューしている。どのスポーツでも、始めるなら早いほうがいいのは同じ。と同時に未成年の選手にどこまでやらせていいか、何ができたらリングに上げていいかを団体として掴めているわけだ。