2度の捻挫で思うようにいかなかったからこそ、U19ワールドカップにかける思いは強い。

「2度捻挫して、悔しい経験をしてきました。だから、このU19の機会では自分が持てるスキルを披露したいと思っています」

　そう言った後で、はやる気持ちを抑えるかのようにこう続けた。

「でも最終的には自分個人ではなく、とにかく試合に勝ちたい。自分のスタッツがどうであれ、試合に勝てれば嬉しいし、それ以外のことは重要だとは思っていない」

　大事なのは試合に勝つこと。それは、どこに行っても常に意識していることだ。チームを勝たせるポイントガードが理想像だという。

「日本には日本のペースがある」

　実は、アメリカでプレーしてきた彼にとって、日本代表のチームでやることは思っていたほど簡単なことではなかった。最初は、アメリカ式に「誰にも自分は止められない」という気持ちでやっていたのだが、どこか噛み合わないのを感じていた。そこで方向転換できて代表メンバーに残れたのは、A代表のヘッドコーチ、トム・ホーバスのアドバイスのおかげだった。

「『ここでみんながやっているバスケットボールを変えようとするのではなく、彼らのゲームに自分のゲームを加えるようなつもりでやりなさい』とアドバイスされました」とルドルフ。それまで、自分のスピードでまわりを圧倒しようとしていたが、その言葉を聞いてアプローチを少し変えた。

「アメリカではゼロか100かでやっていて、止まろうともしなかった。でも日本には日本のペースがある。常にフルスピードでやるのではなく、少しスローダウンして、どこがオープンになっているのか考えなくてはいけない。試合全体を見て判断すればいい。複雑に考えすぎてしまっていたところがあったけれど、それを変えることができた。これはアメリカに戻ってからもプラスになるはず」

　どんな経験も、長い目で見ればプロセスのひとつだ。この先の目標もはっきりしている。

「まず、来シーズンは州か地区で高校最優秀プレイヤーになりたい。そして、今の一番の目標はディビジョンⅠの大学からオファーをもらうこと。努力し続ければ、その目標は実現できると思っている。そして、その次はプロ。NBAに行きたい」

　目標は高く、毎日の練習は地に足をつけて辛抱強く。まだ17歳の彼にとって、この春と夏の経験すべてが成長するための栄養となる。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。