「戦いながら強くならないといけない」カープ新井監督の思惑と交流戦終了時点の「貯金2」をどう評価する？

　例年になく混戦となった交流戦を経て、6月23日からセ・パ両リーグのペナントレースに戻る。首位阪神を6ゲーム差で追う広島において、新井貴浩監督の舵取りはここまで正しい方向にチームを導いていると感じる。開幕4連敗から5連勝と大きな波はあったものの、その後は勝率5割前後を行ったり来たり。安定した戦いを続ける。シーズン前の評論家予想でも最下位予想が並んでいた前評判を考えると、善戦していると言えよう。

　ただ、就任から前向きなコメントやファンサービスをしてきた明るいキャラクターが期待値を高めたのか、一部では不満の声も耳にする。または、大変革を期待したのかもしれない。プロ野球ファンの中には、未知なる可能性を秘めた若手の積極起用を求める声は一定数ある。特に長い低迷期を支えた広島ファンは、その色が濃いように感じる。

　契約上は単年であっても、一定の猶予が与えられた新人監督が改革に踏み切ることは珍しくない。大きな希望を持って迎えられた新井監督ならなおさら、大胆な世代交代を許される状況にあったように感じる。

初年度から優勝だけを狙う理由

　育成という命題に取り組む姿勢を見せれば、ある程度結果が悪くても目をつぶってもらえることはある。だが、新井監督はそうはしなかった。春季キャンプで若手の台頭が見られなかった現実もあるが、それ以上に勝負にこだわった。

「シーズン前に選手に言ったから。優勝しか狙ってない、と。3位までに入って、CS（クライマックスシリーズ）に、とかじゃない。優勝して、日本一になって、みんなでハワイに行くぞって」

　預かったチームは4年連続Bクラスであり、戦力は新外国人のマット・デビッドソンが加わったくらいで、大きな戦力補強はない。それでも指揮官は頂点しか見ていない。限られた戦力を最大限に生かして、ペナントレースを勝ち抜く。そう考えている。

「戦いながら強くならないといけない。戦いながら誰が出てくるのか。できれば、前半戦までには、と思っているけど、そう簡単にいかないだろうとも思っている」

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