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芸能界入りで勘当、顔面負傷のトラウマ…白川未奈、泣き崩れてもタダでは起きない“ド根性”プロレス人生「生まれた時から“闘い”だった」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byEssei Hara

posted2023/06/17 11:02

芸能界入りで勘当、顔面負傷のトラウマ…白川未奈、泣き崩れてもタダでは起きない“ド根性”プロレス人生「生まれた時から“闘い”だった」<Number Web> photograph by Essei Hara

5月27日、中野たむとの“赤白2冠戦”に敗れ号泣する白川未奈

色眼鏡で見られもした、“芸能界からの挑戦”

 白川がプロレスデビューしたのは2018年。新興団体ベストボディ・ジャパンプロレスリングの旗揚げ戦だった。芸能界からの挑戦は話題になったが色眼鏡で見られもした。実力者とか強豪とか、そういう形で扱われたことは一度もないと言っていい。

 そんな選手が、業界最大手の団体が開催する横浜アリーナ大会でチャンピオンになった。誰もが「よくぞここまで」と思った。長く見ている人間ほど、感慨は大きかったはずだ。しかし本人だけが満足していなかった。

「自分が目指したいのはトップの座。よくも悪くも、現状に満足したくないタイプなんです。だから横浜アリーナだって通過点にしなきゃいけない」

 なつぽいとの初防衛戦をクリアすると、中野たむとの対戦が決まった。白川のアピールによるものだ。たむは横アリで団体の頂点“赤いベルト”ことワールド・オブ・スターダムのチャンピオンになっていた。試合は2冠戦として行われることに。記者会見の席上、白川は岩谷麻優が持つIWGP女子王座も狙い3冠王を目指すと宣言した。本当に横浜アリーナでの勝利を通過点にしようとしていた。

「また地獄だ!」白川があらわにした“悔しさの理由”

 5月27日、大田区総合体育館大会。引き分けの予想が多かったと言われる2冠戦は、たむの勝利に終わった。岩谷以来となる“赤白2冠”達成。白川は自分が抱いた野望をたむに奪われた。試合が終わった瞬間から号泣し、バックステージでも泣き崩れて立ち上がれない。

「また地獄だ!」

 リング上で白川は叫んだ。インタビュースペースでは「悔しい」、「辛い」だけでなく「申し訳ない」とも。その意味を単独インタビューで聞いた。

「白いベルトを獲って、たくさんの人が喜んでくれたのにすぐ失ってしまって……」

 応援してくれたファンが全国にいる。その人たちみんなにベルト姿を見せたかった。“希望”を示したかった。けれど、その腰にベルトはもうないのだった。

 白川はシングル王者としては常に短命に終わっている。初めて掴んだベストボディ・ジャパンプロレスの女子王座、フューチャー・オブ・スターダム王座はいずれも初防衛戦で敗北。今回も2度目の防衛に失敗した。本人はそのことについて口にしていないが、気にしているからこそかもしれない。

「まだまだですね。まだやることがたくさんありすぎる。やりたいことが10だとしたら、今は1にも達してない」

【次ページ】 親から勘当も…「悔しい思いの分だけ強くなった」人生

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