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芸能界入りで勘当、顔面負傷のトラウマ…白川未奈、泣き崩れてもタダでは起きない“ド根性”プロレス人生「生まれた時から“闘い”だった」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byEssei Hara

posted2023/06/17 11:02

芸能界入りで勘当、顔面負傷のトラウマ…白川未奈、泣き崩れてもタダでは起きない“ド根性”プロレス人生「生まれた時から“闘い”だった」<Number Web> photograph by Essei Hara

5月27日、中野たむとの“赤白2冠戦”に敗れ号泣する白川未奈

「下道を爆走して、高速道路の人生を抜いてやれ」

 再び上谷の前に立った時には、ベルトへの気持ちも変わっていた。彼女にとって、白いベルトは「希望のベルト」だ。もともとグラビアタレントで、プロレスデビューは30歳。スタートが遅いことは自分でも分かっていたが、白いベルトを腰に巻くためにありとあらゆる努力をしてきた。白いベルトが、自分のキャリアを肯定するための希望だった。

 だが負傷欠場すると、意識が変わった。

「白いベルトは自分にとっての希望だと思ってたんですけど、そうじゃないなって。私がチャンピオンになることで、周りの人たちに希望を示すことができる。だから“希望のベルト”。

 何かチャレンジしたいことがあるけど“自分には無理だ”とか“今からじゃ遅いかな”、“この歳では”みたいに思ってる人たちに“でも白川はチャンピオンになれたよね”って思ってほしい。高速道路を進む人生もあるけど、私の人生は下道。でも高速が渋滞することだってある。“下道を爆走して高速道路の人生を抜いてやれ”っていうのが私の生き方なので。スタート地点が違ったってなんとかなる。それを人生かけて証明したい」

「正直いうと、トラウマになってました。でも…」

 初披露の新技フィギュア・フォー・ドライバーMINAで勝利した白川。試合の最大のポイントは、上谷のフェニックス・スプラッシュを受けたことだと振り返った。

 白川にケガをさせてしまった上谷は、それ以降フェニックス・スプラッシュを使っていなかった。そんな上谷に「フェニックスを使え」と挑発したのも白川だ。自分を地獄に落とした技、チャンピオンの最大の必殺技を受けて、カウント2で返さなければ止まった時間は動かない。

「正直いうと、フェニックスに限らず相手が上から降ってくる技はトラウマになってました。でも、勝つためには逃げ道をなくさないと。コズエンを抜けたこともですけど、自分を追い込んで逃げ道をなくしたから勝てたんだと思います。勝つためには自分を追い込んで、何かを捨てなきゃいけない。そう考えちゃう性格なんですよ。

 プロレスを楽しんでる選手もいる。プロレスができているだけで幸せということもあると思います。でも私は強くなって勝ちたい。だから勝って嬉しいことはあってもプロレス人生が楽しいと思ったことがなくて。これからもずっとそうでしょうね」

【次ページ】 色眼鏡で見られもした、“芸能界からの挑戦”

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