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プロ野球引退から半年で激変…山口俊の“ビジネスマン化”がスゴかった「岡本和真が絶賛した“ちゃんこ”」「7月にはエステサロンも」
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/06/12 11:04
昨季をもって現役を引退した山口俊にインタビュー(後編)
加えて、お手本が身近にいることも大きかった。飲食店を営む両親を見て育ってきた影響で経営的な考え方が染み付いていた。
「仕入れのやり方、お酒に対する目利き、利益率……そういう言葉が、家で飛び交ってましたからね。仕入れの際の交渉術も親を見てなんとなくわかっていた。だからそこの戸惑いはまったくなかったです。
ただ、今は順調でもまったく慢心できないと思っています。まだ開店して間もないので、集客も『元野球選手』としてのブランドによるところが大きい。その効果は最大限生かしたほうがいいとは思うんですけど……あと数年、いや下手したら1年どころか数カ月しか続かないかもしれない。だから危機感はあります。安定的に利益が出せるように、というのは常に考えてますね」
野球が恋しくならない?
それまで17年プロ選手として続けていた野球が恋しくなり、もう一度ユニホームを着たくなることはないのだろうか。
「巨人から自由契約になった昨シーズン直後は、体が動きましたし、アメリカでマイナー契約の招待選手から再挑戦という道を模索してもらったんですけど……契約してくれる球団が見つからなかった。そう考えると、やっぱり2021年のジャイアンツ傘下時代にマイナーに残ればよかった、とは正直思いますね。マイナーといえど簡単に行けるところではないので。
その点、少し後悔もありますけど、今は吹っ切れましたね。もうまったく投げられないので。引退後に野球教室で子供相手に投げたときも全然ダメで。あらためてトレーニングって大事ですね(笑)」
「7月中旬にはエステサロンも…」
ちゃんこ店経営を軌道に乗せる苦心と同時に、将来のビジョンも描いている。
「今後は飲食店以外の展開も考えています。7月中旬にはエステサロンもオープンしますし、これから事業を広げていきたい。ちゃんこ店経営に関しても、アメリカに支店を開きたいという計画もある。その意味では、あの大変だったメジャー時代の経験もプラスになりそうです。地に足つけてやっていきます」
プロ野球選手としての挑戦はたしかに終わった。だが、その言動から、華々しい世界から離れた未練は感じられない。ピッチャーではなく実業家として――。苦難はあろうが、進む道ははっきり見えている。