マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
プロ野球5球団のスカウトが熱視線「高校時代は超無名、野球はやめるつもりだったのに…」ドラフト上位候補に急浮上した北海道の183cm左投手
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
posted2023/06/06 17:01
今秋のドラフト有力候補、星槎道都大の滝田一希投手(183cm78kg・左投左打)
困りながらも嬉しそうな表情だったから、きっとどちらもすごく楽しみな存在なのだろう。
「間違いないのは細野かもしれないけど、夢があるのはこっちでしょうね。でも……個人的には、細野かなぁ」
滝田投手、じつは高校までの野球のつもりだったと聞いていた。たまたま投球を見て、その素質に惚れ込んだ二宮至監督の熱心な誘いに翻意。そんなご縁と、ご家族のバックアップがあったから「今」がある。
星槎道都大、リーグ戦を制して全日本大学野球選手権に出場した(6月5日の大商大戦で滝田は4回2/3、自責点5と崩れた)。
6人きょうだいを育てるために懸命に働いた母親・美智子さんは、昨年春、52歳の若さで亡くなったと聞く。
滝田投手の野球の道はこの春、目の前に一気に開けた。地元の人しか知らぬ「すっつ」と読む小さな港町が全国に知れわたる日も、もうすぐそこまでやって来ている。