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“爆発的に跳ぶ”ために毎日“腹筋500回”!? バレー古賀紗理那ジャンプ改造計画…スピードのプロが絶賛する理由「楽しみな夫婦ですね」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byJIJI PRESS
posted2023/06/02 11:05
Vリーグ制覇、皇后杯優勝に貢献した古賀紗理那(NECレッドロケッツ)。ジャンプ改造に着手したことでスパイクに余裕が生まれた
「(古賀は)周りからは頑固な選手だと思われているかもしれませんが、僕から見れば、常に“こうなりたい”と求めている素直な欲しがりさん(笑)。伝えた言葉を絵にする能力に長けているだけでなく、何がわかっていて、何がわかっていないかを正確にわかっている。あれだけジャンプする競技でありながら、『もっと高く跳べ』と言われるばかりで、その跳び方がわからなかったし、跳ぶために何が必要かわからなかった。
でも今はそこが具体的な言葉で伝わったことで、彼女の感覚と重なって、やるべきことが具体的になった。しかも試合ですぐ体現できる。古賀はやっぱりすごい選手ですよ」
前述の通り、ジャンプ動作は全部で5段階。古賀はすでに2段階をクリアしており、今季のVリーグが終わるまでに4段階へ到達し、パリ五輪で理想形にたどり着く予定だ。「もっと爆発的に跳べる」と期待を寄せる里氏は、ジャンプの種類自体もさらに増やすなど具体的なイメージを広げている。
「里さん、西田ってわかりますか?」
広がったのは古賀の可能性だけでない。新たにつながった縁も、また別の楽しみを含んでいる。
皇后杯の頃だったか、Vリーグ開幕の頃か。時期は定かではないが、里氏は古賀にこう聞かれた。
「里さん、西田ってわかりますか?」
「西田敏行さんしか知らないよ(笑)」と答えると、古賀は「そうですよね」と爆笑しながら、ある動画を見せてきた。
「私の結婚する相手なんですけど、一度、プレー見てもらえませんか?」
夫である西田有志のスパイクシーンだった。
古賀は本人も「頑固だと思われている」と自覚するように、納得しなければ動かず、誰でも構わず心を開くわけではない。里氏に全幅の信頼を寄せているからこそ、最も近い存在である西田にもつなげたいと、ごく自然に話題に出したのだろう。それは、自身の成長を誰よりも実感している証拠でもある。
「プレーを見る限りですが2人は同じタイプ。たとえるなら自転車に乗った時、上り坂でもいつも重たいギアのままで漕いでいる感じ。まだまだ使っていないギアはあるし、もっとしなやかなプレーができる。そして、もう少し高く跳べるはず。すごく楽しみな夫婦ですね」
大きく沈み込んで、跳び上がる。伴侶と共に最強の味方を得た古賀紗理那は、描く理想のイメージへ向けて一歩ずつ進んでいる。今はまだ、進化の過程にある。
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