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西武・山川穂高の”強制わいせつ致傷疑惑”にNPBはどう対応すべき? 類似の事件でバウアーに重い処分を下したMLBとの”決定的な違い”とは
posted2023/05/18 17:01
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
JIJI PRESS
知人女性に対する強制わいせつ致傷の容疑で被害届が受理された、西武・山川穂高内野手の捜査が進んでいるという。
すでに多くのメディアが報道しているので事件の詳細は省くが、スクープした「文春オンライン」の直撃に山川は女性とホテルに行ったことは認めたが、「無理矢理」であったことは否定しているという。
事件が報じられた翌日の5月12日に西武は山川の一軍登録を抹消。渡辺久信GMは「色んなことを含めて総合的に判断した上でコンディション的」な抹消だと説明し、事件に関しては「いまは捜査の推移を見守っている段階なので何もいえない」と語っている。
球界では昨年、巨人・坂本勇人内野手の女性スキャンダルが週刊誌等で大きく報じられた。今回の山川の事件は女性が被害届を出して刑事事件として警察が捜査に動き、問題はより深刻だ。ただ、ここで問題にしたいのは球界全体でこうした性的な問題を含めたハラスメントに対する取り組みをもう一度、しっかり見直さなければならないということだ。
バウアーがMLBで出場停止処分を受けた事件の場合
実は今回の山川のケースと似た事件がメジャーリーグでも過去にあった。今季からDeNAに移籍したトレバー・バウアー投手が出場停止処分を受けた事件である。
ロサンゼルス・ドジャース所属時代の2021年に、ある女性が性行為の最中にバウアーに暴行を受けたとして告発し、ロサンゼルスのパサデナ市警が捜査を行なっていることが発表された。問題が明らかになるとメジャーリーグ機構(MLB)と同選手会はバウアーを制限リストに入れ、試合への出場を停止。捜査が続いている最中の9月11日にポストシーズンの間までの休職期間の延長を決めた。
そして22年4月29日にMLBは、同日から324試合の出場停止処分を決定。この処分を不服としたバウアーが異議申し立てをした結果、処分期間は194試合に軽減されたが、それでもかなり重い罰則となっている。
事件は証拠不十分で不起訴となって法的に問題はなくなっていたが、ドジャースは今年1月に契約を解除。MLBでは契約する球団がなく、開幕直前にバウアーの日本球界への移籍が決まったという経緯だ。
ここで痛感するのが、MLBとNPBの組織としての動きの差である。