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「へへっ、お前が東大? いけるわけねえじゃん」偏差値45“非エリート”野球部ピッチャーが東大に合格したスゴい勉強法「先生や同級生にもバカにされ…」 

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沼澤典史

沼澤典史Norifumi Numazawa

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posted2023/05/16 17:01

「へへっ、お前が東大? いけるわけねえじゃん」偏差値45“非エリート”野球部ピッチャーが東大に合格したスゴい勉強法「先生や同級生にもバカにされ…」<Number Web>

偏差値45から東大に逆転合格した佐藤有為。“非エリート”の私立高野球部ピッチャーはなぜ東大を目指したのか?

「机を整理していたら、東大野球部を目指す人向けにまとめられた資料が、ぐしゃぐしゃの状態で出てきました。すっかりその存在を忘れていましたが、改めて読んだ中に『先生でも知り合いでもなんでもいいから東大に合格した先輩を見つけて、手本にしなさい』と書かれていたんです。うちの高校には手本がいなかったので、じゃあ外の世界に手本を探しに行こうと、東進ハイスクールの東大特進コースに入りました」

 東大特進コースは、東大を目指す現役生のために東進が毎年設置し、東大受験に特化した講義が行われる。そこには、かつて佐藤が受験に失敗した難関中高のエリートたちも多く在籍し、初めて外の世界に触れた佐藤は実力差を痛感する。

「東大特進コースは開成、麻布、武蔵をはじめとするエリートがうじゃうじゃいるところ。そこに偏差値40の京華の生徒が入るわけですから、面食らいますよね。会話の内容を横で聞いていても、頭の回転がうちの高校の生徒とはまったく違う。しかも彼らは同じ学校同士で固まって座るから、開成の制服の塊は迫力ありました。私服の生徒たちの塊Aは麻布で、塊Bは武蔵ですよね。彼らがワイワイ固まる中で、僕は高校名をひた隠しにして、ずっと出口に近い右後ろの席にひとりでいました」

全然理解できなかった「林修先生の現代文」

 小テストでは、佐藤は半分くらいしか点を取れないのに、周りの生徒たちは、ほぼ満点を取る。

 林修の現代文の授業では、手を挙げた生徒が「ここって□□してますよね。だから〇〇××△△」と佐藤には理解できない会話をしているのに、周りはうんうんと頷いている。

 森田鉄也の英語の授業では生徒同士のペアで英会話をしたが、佐藤にはまったくわからないのに隣の生徒はペラペラ喋る。

 そんなことが日常茶飯事の環境にあって、京華で伸びた天狗の鼻はすぐに折られた。危機感を持った佐藤は、ふだんの勉強への取り組みも大きく変えた。

「まず英語については、英単語を見た瞬間に意味がわかるようなレベルを目指して勉強しました。単語を覚えるというより、使いこなすというイメージです。人間が知識を使いこなすために必要なのは、インプットしたものをアウトプットする作業の積み重ねです。そこで、単語帳の見開きに10単語あるとすれば、5単語を取り出して英作文をするなどしていました。英語の文章を読むときも、アウトプットを意識して取り組みました。英字新聞でも英語教科書でもなんでもいいですが英語の文章を読んで、出てくる単語のコアの意味を逐一思い出していく方法。こうした勉強をしていたら、すごく力がつきました」

B判定でも…「東大は甘くなかったですね」

 それまで110点だったセンター試験模試(当時)の英語が、高2の冬には184点まで上がるなど、数カ月ですぐさま成果があらわれた。世界史でも同じようにインプットとアウトプットを意識して勉強し、模試では手応えを得た。高校3年の年末までは依然として東大はE判定だったが、年明けに一気にB判定が出た。

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