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三浦孝太は「瞳孔ガン開きで睨んできた」…“成り上がり男”YA-MANはカズの息子をどう丸裸にしたのか?「もっと温厚かと思ったけど…」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao
posted2023/05/10 17:03
5月6日の『RIZIN.42』で拳を交錯させるYA-MAN(左)と三浦孝太。「キングカズの息子」を相手に、YA-MANはMMAデビュー戦をKO勝利で飾った
MMAのキャリアは一昨年大晦日のRIZINでデビューした三浦に一日の長がある。寝技の攻防が長引けば、勝負の流れは相手に傾く可能性もあると読んでいたのだ。しかしそうなる前に、YA-MANは予告を実現してみせた。
「やっぱり大勢の前でのKOは気持ちがいい」
三浦孝太は「瞳孔ガン開きで睨んできた」
うれしい誤算もあった。試合開始直前、リング中央でYA-MANが思いきり睨みつけるや、三浦は視線をそらすことなく睨み返してきたというのだ。
「もっと温厚かと思ったけど、瞳孔ガン開きで睨んできた。育ちがいいとか、全く感じなかった。(逆に)荒々しさを感じた。やっぱりそこはファイターなんだと思いました。だからこそ余計に楽しかった」
このときは三浦の方も、想像とは違う自分を感じていた。
「試合になったら自分はビビってしまうと思っていたけど、リングに上がったときにはもう怖くなかったし、どんどんトライしよう、と」
格闘技の醍醐味。それはいざリングやケージに上がれば、それまでの地位や名声など一切関係なくなり、誰もが平等に扱われるということだ。金持ちだろうと生活困窮者だろうと、ルールに則って勝ち負けを競わないといけない。YA-MANと闘うことで、格闘家・三浦孝太は初めて“丸裸”にされた感がある。
試合後、記者から「世間に“いまに見ていろ”と思わせる試合ができたと思うか」という質問が飛ぶと、三浦は「全然できていない」と首を横に振った。
「自分はほかのRIZINに出ている誰よりも実績がない。立つ権利みたいなものは正直薄い。それでも、勝っていれば出られると思っていたので……」
YA-MANの「MMA対策」とは?
これまで生粋のキックボクサーとして闘ってきたYA-MANがMMAファイターとしての初陣を飾れた要因を辿っていくと、MMAのベースとなるグラップリングの練習に没頭していたことに行き着く。
「グラップリングの練習を一番重要視していました。週6回、1日に朝晩とその練習をやっていた。スタンド(キックボクシング)の練習はほぼやっていない」