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格闘技PRESSBACK NUMBER
なぜブアカーオは40歳でRIZINのリングに? 三浦孝太との師弟関係、かつてのライバルへの思いも「魔裟斗さんに健在をアピールしたい」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao
posted2023/05/04 17:04
『RIZIN.42』の安保瑠輝也戦を前に、単独インタビューに応じたブアカーオ・バンチャメーク。不惑を迎えてなおリングに立ち続ける理由とは
「僕はムエタイをスポーツとして見てもらいたい」
これまでのタイのムエタイといえば、ギャンブルとして成立しているという一面があった。しかし新型コロナウイルスの感染拡大でスタジアムは長期閉鎖を余儀なくされた。興行が再開されると、ムエタイはイメージ刷新を図るために、過去500年とも700年ともいわれる伝統と歴史に、新たな風を吹かせようとしている。
かつてメジャースタジアムでは女性のリングインが厳禁だったが、それを解除し女子の試合も積極的に組むようになった。
客層もブアカーオvs三浦をきっかけに、現地の若い女性がギャンブラーと入れ替わるように入場するようになった。ブアカーオは現地で映画やコマーシャルに出演するなど、我々が想像する以上の知名度を誇る。一方の三浦もRIZINデビュー後に東南アジアで人気が爆発し、タイでは若い女性層を中心に空港に出待ちが出現するほどブレイクしている。
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新しいファン層を刺激するという意味で、ブアカーオvs三浦は至高のマッチメイクだったのだ。ブアカーオも「以前のムエタイはギャンブル目的で来場する地元民しかいなかった」と思い返す。
「僕はムエタイをひとつのスポーツとして見てもらいたい。僕のマインドはそういう方向に変わりつつある。孝太と闘ったときには僕のファンだけではなく、彼のファンである若い女性がたくさん集まったし、会場に入りきれなかった人たちもたくさんいた。ムエタイのスポーツ化のためにはいい流れですね」
今回の安保戦を皮切りに、ブアカーオは定期的にRIZINに参戦すると思われる。4月13日に行なわれた記者会見でブアカーオとともに出席した元Krushスーパーウェルター級王者の城戸康裕は、自分の横に並んだブアカーオと安保に視線を投げかけながら、「この3人が出場するトーナメントをやっても面白い」とMAX復活を思わせるマッチメイクを提案した。
この意見に対してブアカーオは即答こそ避けたが、含みのあるコメントを残した。
「RIZINの方針にもよるだろうけど、興行の中で自分の位置づけがどれくらい重要なのか……。とりあえずいまのところは、ひとつひとつの試合を確実にこなしていきたい」
RIZINはもともとMMAが中心のプロモーションながら、現在はキック、ムエタイ、ボクシング、さらにはMMAとキックを交互に行なうミックスマッチも組むなど、試合形式は「なんでもあり」だ。しばしば組まれる体重差や経験の違いを無視した試合には賛否両論が渦巻くが、そういったマッチメイクがRIZINならではのダイナミズムを生み出していることは否定できない。