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将棋PRESSBACK NUMBER
藤井聡太竜王が渡辺明名人に勝っても「自信のない展開」と話してた…「難しい将棋」ってどんな感覚?〈高見泰地七段に聞く〉
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byJIJI PRESS
posted2023/04/23 06:00
名人戦第1局での渡辺明名人と藤井聡太竜王(代表撮影)
藤井竜王は「勝ち方が非常に上手かった」
――夕方に入ると、さらに展開が動いていった印象でした。
高見 夕食休憩の少し前――本当に少しなんですが――形勢が藤井竜王に振れたかなという感じですね。終盤はお互いの読み筋ではあるものの……最善を続けていきました。そこで飛び出したのが藤井竜王の90手目「1五角」の一手です。「3二」の地点にまで入り込んできた馬で角を取られる手をかわしながら、先手陣に迫るという一番厳しい手で、ここで形勢がはっきりした印象です。
もし角が自陣に残ったままだと、馬で取られてしまい、詰みを狙われてしまう状態でした。その角を逃がしながら、言わば〈詰めろ逃れの詰めろ〉(※詰めろ=その時点では王手がかかっていないが、相手の次の手番で相手玉を詰ませられる状態)という手になりました。その後は藤井竜王が緩みなく寄せていきましたね。
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◇ ◇ ◇
高見七段が「緩みなく寄せていきました」と語った藤井竜王の先勝。素朴な疑問として〈棋士は勝利への筋道をどのように見つけていくのか〉というものがある。その辺りについて聞いてみると高見七段は「非常に勝ち方が上手かったです」と語る。それはいったいどういうことなのだろうか。
<#2につづく>
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