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高橋大輔「納得というのは一生ない」かなだいが“顔を見合わせて”真剣に語った来季への思い…2人が明かした「10年分が凝縮された3年間」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2023/04/19 11:02
国別対抗戦フリーの演技を終え、笑顔で抱き合う高橋大輔と村元哉中
高橋の決意「納得というのは一生ない」
世界選手権、国別対抗戦と2大会ほぼノーミスで滑り切り、やりきったという気持ちなのか。それとも、まだまだやれるという欲が湧いてきたのだろうか。そう聞くと、二人はちょっと顔を見合わせて考え込んだ。
「多分、いつどんなときでも、まだやれるという気持ちはあるかなと……」と村元が先に口を開いた。「何かもうちょっと、というのは出てくる。(今回)滑り切ったというのはあるんですけど、両方。本当にやり切ったという気持ちもある。50/50です」
高橋がこう言葉を続けた。
「多分、納得というのは一生ないと思うし……今日は出し切れたとは思うけど、その中で100%出し切れたかというと、ベストではない。そういった部分は、どの現役選手も、引退しても残ってると思う」
一度現役を引退する体験をした高橋だからこそ、言える言葉だった。
「そこは一生来ないと思っているんで。でもそれを含めてアスリートというものなのかなと思うので……でもまあ、(演技に関しては)嬉しいです」と締めくくった。
来季の続行について話を向けると、高橋は笑顔で…
二人は、来季についてはまだ続行するかどうか未定だ。昨シーズンが終わった時も、競技活動続行を宣言したのは5月も後半になってからだった。マリナ・ズエヴァコーチも「こればっかりは、本人が決めることですから」と言葉を濁した。
だが国別対抗戦に来ていた複数の国際ジャッジから、続行を期待すると声をかけられたのだという。
筆者も最後に「来シーズンも会えることを信じています」と言うと、高橋は「ははは」と明るい笑顔だけを返してきた。世界選手権では、フリーの演技後に彼はこう語っている。
「本当に今日の演技が、1年続けることの意味をくれた。この1年で経験できたこと成長できたことたくさんあった」
来季続けたなら、二人は必ずもっと高いところへと飛躍するだろう。だが今の我々に出来ることは、彼らが現役続行を決意してくれることを祈るだけである。
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