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高橋大輔「納得というのは一生ない」かなだいが“顔を見合わせて”真剣に語った来季への思い…2人が明かした「10年分が凝縮された3年間」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2023/04/19 11:02
国別対抗戦フリーの演技を終え、笑顔で抱き合う高橋大輔と村元哉中
高橋の喜び「カナちゃんが誘ってくれなかったら…」
そんな中、3月にさいたまスーパーアリーナで開催された世界選手権では、大きな歓声に押されて会心の「オペラ座の怪人」を滑り切った。演技を終えた二人は、ポロポロと歓喜と安堵の涙を流した。
「Finally, We did it!(やっとやったぞ!)やっとできた、ありがとう!」
演技後、二人でそんな言葉を交わしていたのだという。特にこの「オペラ座の怪人」は、2007年東京世界選手権で銀メダルを手にした高橋が初めて世界の表彰台に到達した、思い出深いプログラムでもあった。その「オペラ座」を再び日本開催の世界選手権で、今度は二人で滑ることになった運命的な巡りあわせに、村元は鳥肌がたったという。
「組んでから、お互いが納得できる演技はオペラ座の演技がはじめて、というくらい良い演技だった。喜びというか成長というか……カナちゃんが誘ってくれなかったらアイスダンスをすることもなかった」
高橋は、そう喜びを表現した。
「10年分が凝縮された3年間」への思い
アイスダンスに転向し、この3シーズンの自分たちの成長をどう感じているのだろうか。そう聞くと、まず高橋がこう語った。
「(転向直後は)どこまで行けるのかがわからなかったけれど、毎年毎年シーズンごとに成長を感じることができていた。今シーズンなんかは特に、本当に試合ができている、他の選手と戦えているというのを僕自身は感じられたので、そこは成長できたところなのかなと……」
世界選手権では33組中11位で、トップ10入りこそ惜しいところで逃したものの、日本のアイスダンスチームとしては歴代最高タイの結果を出した。村元がこう続ける。
「3シーズン目でここまで来れた、世界と戦える位置に来れたというのはすごいことだなと思います。組んでからコロナとか、フロリダのハリケーンとか、いろんな大きな壁があったんですけど、ある意味10年間分くらいが3年間に凝縮された濃い年月だった。ここまで来れたのは凄いなと思います」