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井上尚弥30歳に…弟・拓真が「夢だった兄弟同時王者に」と語った日、世界的識者が「イノウエはNo.1ボクサー」と絶賛する理由とは 

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posted2023/04/10 17:21

井上尚弥30歳に…弟・拓真が「夢だった兄弟同時王者に」と語った日、世界的識者が「イノウエはNo.1ボクサー」と絶賛する理由とは<Number Web> photograph by JIJI PRESS

弟・井上拓真の世界王者獲得を喜ぶ井上尚弥

 しかし2012年7月、セミファイナル前に行われた公開プロテストで――黒田は井上のボクシング技術に圧倒されてしまった。その様子には「黒田、弱い! ボクシング辞めちまえ」と残酷な野次が飛ぶほどだったという。

 あまりにも強い井上尚弥に対して、スパーリング拒否するトップ級のボクサーも多かったという。それでも黒田は「デビューの時点でスピード、技術、パワーはどう考えても世界トップクラス。世界トップと自分との距離はどれくらいなのか確認できるし、分かりやすい目印だったんです」と語り、井上のスパーリングパートナーを務め続けたのだった。

「世界チャンピオンにならない方がおかしい」

<証言2>
世界チャンピオンにならない方がおかしい。
(大橋秀行/Number808号 2012年7月19日発売)

◇解説◇
 ボクシング界に「怪物」が出てきた――と密かに注目されていたのは今から11年前のこと。高校時代に5つの高校タイトルや全日本選手権、国際大会を含めた「七冠」を獲得。さらに五輪予選を兼ねた世界選手権でもベスト16に入っており、他選手の結果次第ではロンドン五輪にも出場していた可能性もあったほどだ。このアマチュア時代の鮮烈な戦いぶりに、現役時代に世界王者に2度輝き、引退後には川嶋勝重、八重樫東という2人の世界王者を育て上げた大橋会長も「未来の世界王者」と見立てたとしても不思議ではない。

 その末恐ろしさを感じさせたのは、当時の八重樫と井上のスパーリングだった。井岡一翔との統一戦を前に200ラウンドのスパーを積んだが、唯一劣勢だったのが井上との対戦だったという。この大橋会長の証言が、19歳の井上尚弥の恐るべきポテンシャルを物語っているだろう。

「5Rのうち3Rは(井上に)取られた」

井上に待つ「エキサイティングな未来」

<証言3>
様々な意味でエキサイティングな未来が予想できる井上の今後を私も楽しみにしておきたいと思っています。
(ダグラス・フィッシャー/NumbeWeb 2022年12月12日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/855744

◇解説◇
井上尚弥は2022年年末、20代最後となる一戦としてポール・バトラーとの四団体王座統一戦に挑んだ。

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