プロチームでは育成チームより求められる基準が高く、苦労した時期もあった。

「ヘッドコーチがスペイン代表のスタッフをやってる方で、すごく厳しくて、求められるものがすごく高い。去年プロのリーグで出たときに、3試合連続ぐらいで自分の不調でうまくいかない試合が続いて、どんどんプレータイムが減っていって。コーチから厳しく言われてというのが続いて、メンタル的にもきつい時期があったんです」と振り返る。

　そんなときに頼るのは、経験豊かな父だ。

「コーチに言われてることに対して納得できなかったこともあったので。それをお父さんに電話して、アドバイスもらいました」と大河。

「その時に、結局やってるのは自分だし、人のせいにするのは簡単だって言われた。それで、練習中からも『何でこれできないんだろう』っていうのを積極的にコーチに聞きに行ったり、ふてくされないでやるっていうのを大事にしました。コーチに矢印を向けるんじゃなくて、自分自身に矢印を向けることができたので、踏ん張ってその後巻き返すことができました」

ミニバスの大会で優勝した小学生時代　（写真／卓也さん提供）

　日本では、ミニバス時代に全国大会に出場したり、中学時代には静岡県の大会で優勝し、また静岡選抜として都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会でベスト8入りしたこともあった。しかし全国的な実績が少なかったこともあって、スペインでどれだけ活躍しても日本ではあまり知られた存在というわけではなかった。

八村塁も参加した「BWBグローバルキャンプ」

　そんな中で、去年夏、チャンスが巡ってきた。オーストラリアで行われたBWBアジアキャンプに招待されたのだ。スペインの育成リーグやプロリーグでの活躍が、キャンプをNBAと共催するFIBAの目に留まったのだ。

　そのキャンプでオールスターに選ばれたことで、2月にBWBグローバルキャンプに招待された。NBAオールスターウィークエンドの一環として行われるキャンプで、世界中から、同年代のトッププレイヤーたちが集まり、NBAスカウトたちからも注目のイベントだ。過去には八村塁が参加するなど、キャンプ出身のNBA選手も多い。今回も、来年のNBAドラフトトップ指名候補と言われるリトアニアの選手などNBAスカウトから注目される選手たちが多く参加していた。

　そんな中でも大河は怯むことなく、スペイン語と英語で世界中の選手たちとコミュニケーションを取っていた。スペインでの友達の友達や、スペインで活動する大河のプレーを動画で見たことがあると言ってくれた選手もいた。

BWBグローバルキャンプの様子。世界各国の有望株が集まり、アジア圏からは岡田のほか中国の選手なども参加している　©︎Yoko Miyaji

　プレー面では手応えと同時に、課題も見えてきた。オフェンスではドライブインから3ポイント、パスと、自分の持ち味を出したプレーを見せることができた。一方、ディフェンスではサイズ不足を突かれてしまった。

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