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異色のバスケ経歴は父親譲り?「1対1のスキルよりバスケットIQ」を求めて15歳で単身スペインへ…17歳でプロになった岡田大河の現在地
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byNBA
posted2023/04/11 11:01
未来のスター候補が集結する「BWBグローバルキャンプ」に招待された岡田大河(18歳)。登録身長は参加者の中でひときわ小さい5フィート9インチ(約175cm)だったが、スペインのプロリーグで磨く技術を披露した
卓也はその前から大河の将来の所属先を探して、アメリカやスペインのいくつかのチームを調べ、見学していた。スペインでは、最初は名前の知られた強豪チームのユースチームに入ることでチャンスが生まれると考えていたが、強豪チームでは、サイズが小さく、バスケットボールが特に強いわけでもない日本出身の大河は、練習に参加してもまともにプレーを見てもらえなかった。
「僕は絶対にできると思ったんですけれど、大河のことは見てくれなかった。すごい悔しいなと思って。その思いを、たまたまホスピタレットのオーナーが受け止めてくれて、大会に出てみないかって言われたのが(スペインに出る)きっかけでした」
アメリカではなくスペインを選んだ理由
本格的に海外に出るにあたり、最初の戦いの場として、アメリカよりスペインを選んだのは大河自身だった。バスケットボール界では、まだ海外挑戦というとアメリカが主流で、ヨーロッパに出る選手は少ない。しかし、前例が少ないことは、大河にとっては関係なかった。大事だったのは、その時の自分が何を学びたいのか。
「大会に参加したり練習に参加させてもらって、スペインのバスケってチームプレーやバスケットIQを鍛えるような練習をしていたのです。今は1対1のスキルとかを学ぶより、バスケットIQを学びたいと思ったので、スペインを選びました」と、大河は当時の思いを振り返る。
中学卒業を前に15歳でスペインに渡ると、ホスピタレットのオーナーから紹介されたセントロの下部組織でU16(カデーテ)のAチームに所属した。マドリードにあるチームだったので、レアル・マドリーの下部チームとも対戦することができた。
「最初は、それまで日本で簡単に点取れていたのがうまくいかないこともあった。レアルとか、強いチームとやったときに、どうしても最後の最後で決めきれないっていうのがあった。フィジカルの面(の違い)はすごい苦労しました」と振り返る。
しかし、それでも自信を失うことはなく、挫けずに努力を続けたので、間もなく適応し、実力を発揮できるようになった。レアルとの対戦で、両チーム最多の24点を挙げたこともあった。
最初のシーズンはコロナ禍で中断してしまったが、翌年、再びスペインに戻り、今度はU18(カンテラ)のAチームに入ってプレーし、チュス・マテオ国際大会で優勝し、大河はMVPに選ばれた。3年目となった昨季は、U18チームでやりながら、プロ4部にあたるEBAに所属するセントロのプロチームでの練習に参加し、試合にも出させてもらうようになった。17歳でのプロデビューだ。そして、今季は最初からプロチームだけに所属している。