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ヌートバーはなぜ“日本でも米国でも”愛される?「チーム精神」の裏にあった“2人の師匠の教え”「彼らのように上手くなりたいんだ」
posted2023/04/05 11:30
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
AFLO
全米屈指のベースボールタウン、セントルイス。人口は30万人にも満たない小都市でありながら、カージナルスの本拠地ブッシュスタジアムは常にファンで埋め尽くされ、スタンドはチームカラーの赤に染まる。ワールドシリーズ制覇はナ・リーグトップの11回を誇り、2006年の世界一メンバーだった田口壮(現オリックス外野守備・走塁コーチ)は在籍時、この街のファンを全米一と表現した。
「この街の野球ファンは最高です。野球が好きなことはもちろんですが、野球を本当に良く知っているんです。下手なプレーはできませんからね(笑)」
今、その街でプレーし、人気を博しているのがWBC侍ジャパンの優勝に大きく貢献した『たっちゃん』こと、ラーズ・ヌートバーだ。彼もこの街のファンを最高と称えるひとりだ。
「素晴らしいファンであり、素晴らしいベースボールタウン。彼らは(野球に)忠実で素晴らしいファンなんだ。声援を背にするたびにいつもゾクゾクする」
昨季、途中からレギュラーに定着し、彼が打席に入るたびにファンからは「Noooot!!!」の声援が送られる。この『ヌーイング』こそ、彼がこの街で愛されている証だ。
ヌートバーが“ファンに愛される”理由
ヌートバーが昨季残した打率は.228に過ぎない。そこだけを見ればレギュラーとしては物足りない。だが、ファンは彼を愛してやまない。出塁率が.340あることや、後半戦のOPS(出塁率+長打率)が.846と高かったこともあるが、彼が愛される理由はすべき仕事を遂行するからだ。ガッツあふれるポジティブなプレースタイルと屈託のない笑顔に加え、目の肥えたセントルイスのファンを唸らせるプロダクティブな打撃。これがこの街で彼が愛される理由だ。