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ダルビッシュに質問攻め&大谷との会話も観察「ディズニーランドにいる感覚」“復活”ロッテ種市篤暉(24歳)が侍ジャパンで学んだこと
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2023/04/01 06:00
侍ジャパンのサポートメンバーとして大会前の壮行試合に出場したロッテ種市篤暉(たねいち・あつき)。ダルビッシュから学んだことを復活の1年に活かす
2019年に当時ソフトバンクホークスにいた千賀投手にお願いして合同自主トレのメンバーに入れてもらった。高校時代からの憧れであり、そのピッチングスタイルは理想像だった。色々なことを教えてもらい、吸収した。この時もノートに書き込んだ。そうして迎えたシーズンではプロ初勝利を含む8勝を挙げた。一軍選手の仲間入りをすることになった大事なターニングポイントになった。
今季メジャー挑戦を果たした千賀は侍ジャパンには入ることはなかった。種市は、憧れの先輩がつけていた番号に強い気持ちを込めて、堂々とした投球を披露したというわけだ。初回こそ2者連続で四球を出す立ち上がりだったものの、このピンチをしのぐと2回以降は一塁すら踏ませないパーフェクト投球。大舞台で自信も掴んだ。
トミー・ジョン手術→リハビリ「きつかった」
種市にとって今シーズンは“復活”を期した1年となる。2020年9月14日に横浜市内の病院で右肘内側側副靭帯再建術の手術をした。いわゆるトミー・ジョン手術である。時間にして2時間。術後4週間ギプスで固定し、術後4カ月からスローイングを開始した。
手術した瞬間、最後に記憶にあったのは手術台。その後、麻酔の効果で意識が朦朧となり、起きた時には右手にはギプスが固定されていた。その先に待っていたのは長いリハビリの日々。実戦復帰は22年4月13日、二軍本拠地である浦和球場でのイースタン・リーグ巨人戦だった。
「リハビリは想像した以上にきつかったです。それまでもよくリハビリをしているスポーツ選手のニュースとかを見ていてイメージをしていましたけど、正直、甘く見ていました。身体よりメンタル。ずっと暗いトンネルの中で歩いているような日々でした」
右肘にはハッキリと手術の跡が残っている。長い単調なリハビリを乗り越えての復活イヤー。苦しかったリハビリを想うと、予備メンバーとはいえ侍ジャパンのユニホームに袖を通し、強化試合のマウンドに立つ場所まで来たことには感慨深いものがある。