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WBC“陰のMVP”ダルビッシュ有36歳が振り返る、激動の日々「正直、疲れた部分はあります」「イチローさんとやり方は違ったと思いますけど…」 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byNaoya Sanuki

posted2023/03/30 11:03

WBC“陰のMVP”ダルビッシュ有36歳が振り返る、激動の日々「正直、疲れた部分はあります」「イチローさんとやり方は違ったと思いますけど…」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

優勝を決め、感慨深げな表情を浮かべるダルビッシュ有。36歳のチーム最年長がWBCを振り返った

チームの「和」を重んじた食事会の開催

 フリー打撃での登板で打者との対戦をこなしたとはいえ、ほぼぶっつけ本番にも近い状態で1次ラウンド、さらに移動後の決勝ラウンドへ向かう難しさは覚悟の上だった。

 宮崎合流後は、ほぼ面識のない若い後輩達と積極的にコミュニケーションを図った。練習中には、佐々木朗希らに惜しげもなく変化球の握りなどを助言した。オフの時間には、孤独感を漏らした宇田川優希を優しくイジるかのように「宇田川会」と銘打って食事会を開催した。日頃、投手と野手は別行動のパターンが多いものの、山川穂高、源田壮亮ら野手会の誘いにも率先して参加した。日本特有の上下関係やこれまでの慣習にとらわれることなく、チームの「和」を重んじた。世界最高峰の舞台でトップメジャーリーガーとしてプレーするダルビッシュの言動に、若い侍たちはあっという間に親近感を覚え、押しつぶされそうな重圧の中でも笑顔を絶やさなかった。

「覚悟というか、自分がどういうことを求められているかというのは、自分の年齢だったり、今までの経験だったりというところで、理解はしていましたので。だからそこはちゃんとできたのかなというところはあります」

イチローの言葉を聞き、少し照れくさそうに…

 大会終了後、そんなダルビッシュの発言や振る舞いを、06年、09年の優勝メンバーでもあるイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が絶賛した。パドレスのキャンプ合流後、大先輩の言葉を伝え聞いたダルビッシュは、少し照れくさそうに振り返った。

「イチローさんに褒められることなんてないと思うので、こういうところで褒めていただけるというのは本当に光栄ですし、自信になりました。でも、同時にイチローさんが前回2009年に出られたのが35歳くらいで、同じくらいの年齢だった。いろいろチームのことをしなきゃいけない中で、ああやって日本代表に時間を割いてくださっていたので。それは自分もこの年齢になってきていますから、若干意識はしました。イチローさんと自分のやり方は違ったと思いますけど、置かれている立場というのはすごく似ていたので、イチローさん結構大変だったんだなとか、いろいろ考えることはありました。いろんな意味で自信になりました」

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