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宇野昌磨のガッツポーズは「こみ上げるものが…」不調だった“世界王者”はなぜ大舞台で輝いた? コーチの証言「彼はパニックにならない」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2023/03/28 17:01
世界選手権2連覇を達成した宇野昌磨(写真はSPの演技)
フリー196.51、総合301.14でフリー、総合ともにトップを保ち優勝が決定。前日の坂本花織に続いて、世界選手権2連覇を果たした2人目の日本人スケーターとなった。
「このフリープログラム、本当に完璧とは全然言い難い演技ではありましたが、本当に今これ以上できない演技だったと思いますし、本当にどのジャンプも、すごい危ないジャンプが多かったので…それでもしっかり成績を残せたことも嬉しいですし、この2週間ぐらい、すごく調子が良くなかったのもあり、周りの方にたくさん迷惑や心配をお掛けした中で、こうして結果という形で皆さんにお返しができたことに、すごく嬉しく思います」
演技後、宇野は報道陣の前でそう気持ちを表現した。
コーチから宇野へ「夢は、僕を乗り越えていってくれること」
試合後、コーチのステファン・ランビエルも報道陣の取材に応えた。
「とても嬉しく、ここにいられることを光栄に感じています。過去2週間は彼にとって大変だったけれど、大事なのは彼が今日のような演技を最終的にできたことです」
ランビエルコーチは、嬉しさをかみしめるようにそうコメントした。あれほど不調だった宇野を、どのように本番へと送り出したのか。
「過去には不調だった時も、思い通りにならないときもあったけれど、彼はパニックにならないのでそれほど心配はしていませんでした」
ランビエルは愛弟子への信頼を、そう言葉で表現した。
「僕自身、2005年、2006年と世界タイトルを手にしました。僕の夢は彼が僕の記録を超えて、僕を乗り越えていってくれることです」
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