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WBC決勝先発、今永昇太を北九州の高校恩師はどう見た? 「“緊張しない”彼が…」「可能性がゼロではないことを証明してくれた」
posted2023/03/28 11:00
text by
内田勝治Katsuharu Uchida
photograph by
Getty Images
かつてないほどのプレッシャーだった。日本中の期待を一身に背負い、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝のマウンドに上がった今永昇太投手(29、DeNA)は、アメリカから帰国後、首相官邸への表敬訪問で偽らざる胸の内を明かした。
教え子の姿は「少し緊張しているように見えた」
「試合前の記憶と、試合直前のマウンドに上がるまでの記憶があまり思い出せないくらい。試合前に(捕手の)中村悠平さんと話した会話の内容さえ覚えていないくらいの緊張でしたね。ブルペンでもストライクが入らなかったので、こんなことが自分自身にも起こるんだなという、そんな不思議な感覚がありました」
決勝前まで国際試合には9試合、計30イニングを投げ、わずか自責点2、防御率0.60と、侍ジャパンの中で抜群の勝負強さを発揮してきた。
しかし、WBC初の先発マウンドとなるアメリカ戦は完全敵地。フロリダ州マイアミに所在するローンデポ・パークは異様な雰囲気に包まれた。
開閉式ドームの屋根は締め切っており、反響した場内の大歓声が耳をつんざく。これまで数々の大舞台を経験してきた左腕でさえも、プレーボールまでの記憶が定かではないほど、ナーバスになっていた。
かつて今永が福岡・北筑高校時代に野球部部長として指導した田中修治さん(58、現小倉商業高校監督)は、「少し緊張しているように見えた」と話す。
これまで緊張したのは一度だけ
「彼は高校時代から『緊張しない』って言うんですよ。これまで緊張したのは一度だけ、大学1年の春に初めて神宮球場のマウンドに立った時だけだと言っていました」